附属図書館はオープンアクセスを支援します!
オープンアクセスとは?
オープンアクセス(以下OA)とは、学術論文に対して誰もがインターネットを介して無料でアクセスして利用できるようにすることです。OAによって、単に情報アクセスの平等が推進されるだけではありません。研究成果の共有と再利用が進むことで、さらに学際的な研究やイノベーションの創出を促進し、その成果を社会に還元するという波及効果があります。論文をOAにすると、著者にとっても次のようなメリットがあります。
- インターネット上で全世界の人に無料で論文を読んでもらうことができます。
- 論文が引用される可能性が高まります。
- 研究成果を社会に還元することができます。
- インターネットにつなげば、自分の論文をいつでも確認することができます。
筑波大学では、本学の社会貢献力の向上のみならず、大学ブランド力の強化としてもこれを重視し、2015(平成27)年11月19日に筑波大学オープンアクセス方針を採択いたしました。
本方針では、学術雑誌に掲載された論文等については、「つくばリポジトリ」に登録してインターネット上で公開することが原則となっています。
学術論文等の即時OA義務化とは?
2024(令和6)年2月16日、統合イノベーション戦略推進会議により「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」が策定されました。
研究者には何が求められている?
この方針の中で公的資金のうち2025(令和7)年度から新たに公募を行う即時OAの対象となる競争的研究費(→[A])を受給する者は、当該研究費による学術論文及び根拠データ(→[B])の学術雑誌への掲載後、即時に機関リポジトリ等の情報基盤への掲載を義務づけられました。
[A] | 対象となる 競争的研究費 | 科学研究費助成事業(JSPS) 戦略的創造研究推進事業(JST、AMED)※一部事業を除く 創発的研究支援事業(JST) |
[B] | 対象となる 学術論文 及び 根拠データ | 学術論文 電子ジャーナルに掲載された査読済みの研究論文(著者最終稿を含む) 根拠データ 掲載電子ジャーナルの執筆要領、出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表が求められる研究データ |
※この義務化は、公的資金により生産された研究成果を国民に広く還元し研究の発展や社会実装につなげようという理念に基づいています。
※ OAにすることで、引用回数やインパクトの向上が期待できます。義務化の対象でない論文についてもその理念をご理解いただき、OA化をぜひご検討ください。
論文をOAにするには?
OA実現の方法としては、次の2つがあります。
【グリーンOA(セルフアーカイブ)】
大学等が構築・運用する機関リポジトリ等で論文をOAにする方法です。
筑波大学所属の研究者は、つくばリポジトリに論文を登録することで、OAにすることができます。
論文が学術雑誌へ掲載されましたら、リポジトリ担当にご連絡ください。
※リポジトリへの登録は、査読済み最終稿(著者最終稿)のみを認めるという規定を設けている出版社が多くあります。また、出版社や雑誌によっては、著者最終稿の公開にあたって一定の公開猶予期間(エンバーゴ)を設けている場合もあります。
【ゴールドOA】
著者が論文出版料(APC:Article Processing Charge)を支払うことにより、その論文をOAにする方法です。
ジャーナルには、以下の2つのタイプがあります。
- フルOAジャーナル:そのジャーナルの全ての収録論文が無料でアクセスできるもの
- ハイブリッドジャーナル:購読型ジャーナルだが、著者がAPCを支払った論文だけOA化されるもの
注)オープンアクセス出版を行うジャーナルの中には、APCの収益を目的とした粗悪な学術誌(いわゆる「ハゲタカジャーナル」)も存在しますので十分にご注意ください。
●オープンアクセス論文投稿料(APC)の免除・割引・転換契約 情報
本学で受けられるAPC割引等については、上記をご確認ください。
問い合わせ先
- グリーンOA、つくばリポジトリに関すること:リポジトリ担当 voice#@#tulips.tsukuba.ac.jp
- APC支援、転換契約に関すること:電子リソース担当 apc-support#@#tulips.tsukuba.ac.jp
※「#@#」は「@」に置き換え
参考資料
【OA義務化・国の方針等】
- 内閣府:学術論文等のオープンアクセス化の推進
⇒サイトの中段に「学術論文等のオープンアクセス化の推進」として、以下が掲載されています。
・学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針 (2024(令和6)年2月16日統合イノベーション戦略推進会議決定)
・基本方針実施にあたっての具体的方策(2024(令和6)年10月8日改正 関係府省申合せ)
・FAQ(2024(令和6)年10月8日更新) - 統合イノベーション戦略2023(2023(令和5)年6月9日閣議決定)
⇒第1章 1. (2)「知の基盤(研究力)と人材育成の強化」において、「学術論文等のオープンアクセス化の推進」に関する方針が示され、「我が国の競争的研究費制度における2025年度新規公募分からの学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた国の方針を策定する」ことなどが明記されています。 - 内閣府「第6期科学技術・イノベーション基本計画」(2021(令和3)年3月26日閣議決定)
⇒「第5期科学技術基本計画」(2016(平成28)~2020(平成32)年度)に引き続き「オープンサイエンスの推進」への言及があり、「第2章 2.(2) 新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進) 」でその方針を示しています。同計画の実行計画に位置づけられる「統合イノベーション戦略」の下で、大学・研究機関はデータポリシーの策定等に取り組んでいます。 - 我が国の学術情報流通における課題への対応について(審議まとめ)(2021(令和3)年2月)
(文部科学省科学技術・学術審議会・情報委員会・ジャーナル問題検討部会)
⇒学術誌の費用負担、APCの負担増などオープンアクセス・ジャーナルに対する総合的な対応方策を検討するため、2019(令和元)年に文部科学省科学技術・学術審議会情報委員会のもとに「ジャーナル問題検討部会」が設置されました。10回の審議を経て、「ビッグディール契約等の購読経費とAPCの最適化が、我が国が対応すべき最重要課題である」ことなどを指摘した審議まとめが作成されました。
【関連情報】
- オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)
⇒2017年4月にリポジトリを通じた知の発信システムの構築する組織として設立され、リポジトリコミュニティの強化やオープンアクセス・オープンサイエンスの推進に取り組んでいます。ウェブサイト内で、国内のオープンサイエンスに関する政策文書等の主要なドキュメントをまとめたページとして「オープンサイエンス関連の基本ドキュメント」を提供しています。 - 国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)
⇒2016年7月に、世界的なオープンサイエンスの気運を受け、そのインフラとなる学術基盤を開発・運営するために、国立情報学研究所(NII)内に設置されました。ウェブサイト内で、オープンサイエンスに関する国内外の政策動向をまとめたページとして「オープンサイエンス政策動向」を提供しています。 - カレントアウェアネス・ポータル(国立国会図書館)
⇒図書館界、図書館情報学の最新情報を提供する国立国会図書館運営のウェブサイトです。「オープンアクセス」や「学術情報流通」などのテーマについて、国内外の最新動向がしばしばとりあげられています。 - オープンサイエンス促進に向けた研究成果の取扱いに関するJSTの基本方針ガイドライン(2017(平成29)年4月施行、2022(令和4)年4月改定)
⇒科学技術振興機構(JST)の研究資金による全ての研究成果論文を、原則としてオープンアクセスの対象にすることが定められました。また、2022(令和4)年4月の改定により、データマネジメントプラン(DMP)に基づく研究データの適切な保存・管理と、研究成果論文のエビデンスとなる研究データの原則公開が定められました。