令和2年度筑波大学附属図書館企画展
もう一度見たい名品 ~蔵出し一挙公開~

電子展示 もう一度見たい名品

平成23年度特別展

日本人のよんだ漢籍 ―貴重書と和刻本と―

平成23年度特別展ポスター

会期:平成23年9月22日~10月21日

漢籍とは仏教経典を除いた中国の古典籍をいう。『論語』などの儒教経典、『文選』『白氏文集』などの詩文集などの漢籍は、日本文化を形成する重要な要素として古代より読み継がれてきた。その過程で独特の翻訳システムである訓読が考案され、江戸期には訓点付和刻本が多く出版された。 古代から近世に至る日本人の読書の実相と、近代日本漢学の様相を知る手掛かりとして「鈴木虎雄関係資料」の一部とを展示・紹介した。

【平成23年度特別展公式Webサイト】


論語集註 零本(存巻一)

[製作地不明] : 春永 [写], 元亀4 [1573]  【所蔵情報(電子資料あり)】

本書は日本における江戸時代以前の『論語集註』の鈔本としては唯一の伝本である。同種の奥書を持つ僚巻として渋沢栄一旧蔵の青淵論語文庫(東京都立中央図書館)に巻二と巻十とが存する。これらの奥書によると、春永なる人物が元亀4年3月より10月中旬まで数カ月を要して書写した十冊本であったことがわかる。古代・中世の博士家の訓法から江戸時代の道春点にいたる、訓読の歴史の画期に位置するきわめて貴重な資料である。(ロ860-28 / 貴重書)

論語集註 零本(存巻一)の写真

古文尚書 零本(存巻八)

[製作地不明] : 清原宣賢 [写], 永正11 [1514] 【所蔵情報(電子資料あり)】

清原宣賢筆。同筆の僚巻である巻七・巻十が京都大学附属図書館清原文庫に蔵されている。前漢では『今文尚書』が行われていたが、景帝のとき、孔子の旧宅を壊したさいに、古い字体の科斗文字で書かれた『尚書』が出てきた。これが古文尚書であり、孔子の子孫である孔安国が解読して注を書いたといわれる。(ロ815-1 / 貴重書)

古文尚書 零本(存巻八)の写真
平成24年度特別展

明治時代に礼法はいかにして伝えられたか―出版メディアを中心に―

平成24年度特別展ポスター

会期:平成24年10月1日~10月31日

明治時代の女子教育において、重要な位置を占めていた礼法教育に関する各種資料を紹介した。展示品は、学校教育で用いられた教科書だけでなく、家庭教育において使用された錦絵や双六といった「遊び感覚」なものにまで及ぶ。これにより明治時代の生活の中に、礼法がどのように伝えられ定着していったかを視覚的に表現した。 本展示は、筑波大学開学40+101周年記念事業のプレ企画として開催されたものである。

【平成24年度特別展公式Webサイト】


小学女礼式訓解

高橋文次郎編
東京 : 北澤伊八, 1882.11 【所蔵情報】

東京府制定の女礼式を解説したもの。内容を具体的に視覚化した挿絵も加えられている。すべての漢字に読み仮名が付され、濁点も付されて、使い勝手が『小学女礼式 第1』よりも格段によかったためか、この後に出版されたものには本書を利用しているものがある。(へ840-宮56)

小学女礼式訓解の写真

小学礼法

鹿又祐蔵編
仙台 : 高橋藤七, 1884.4  【所蔵情報(電子資料あり)】

仙台で出版されたもの。凡例に「この編は専ら宮城県の小学教則に適当せしめたるもの」とあり、宮城県下の使用を想定しているものであることがわかる。また、同じく凡例に「立礼は清水廣長氏が東京で水野忠雄先生より伝えられたもの、坐礼は従来の小笠原流によるもの」「小笠原流の礼には上中下の別があるが本書には上に対する礼のみを記した」旨の記述がある。(ヘ840-宮65)

小学礼法の写真

女子教育出世雙六 ; 教育兒童出世雙六

斎延一 [画]
[東京] : 横山良八 , 1890.11 【所蔵情報(電子資料あり)】

半紙の大きさの遊び絵に対して、けっこう贅沢品ともいえるのが双六である。遊びの要素を取り入れたもので、礼法にはどのようなものがあるか学習できるようになっている。「女礼」関連の双六は、だいたい「あがり」は「婚礼」で良家にとつぐか、または子だからに恵まれた「幸せな家庭」である。本作品は、「上り」には、立派な夫とかわいい子どもが描かれている。「出世」して「良妻賢母」になることが求められていたといえる。(ヘ950-宮219 )

女子教育出世雙六の写真
平成25年度特別展

知の開拓者(パイオニア)たち―筑波大学開学40+101周年記念特別展

平成25年度特別展ポスター

会期:平成25年10月21日~11月22日

東京文理科大学以前の前身校に焦点をあて、図書館に深い関わりを持つ三宅米吉、松井簡治、諸橋轍次、能勢朝次先生を中心に、近代日本における学問の最先端にあった前身校教員の業績の一端を、附属図書館所蔵資料とともに紹介した。 成果物として、図録資料編「附属図書館特別展・企画展一覧」「附属図書館所蔵 文庫・コレクション一覧」などを作成した。本展示は、筑波大学開学40周年を記念して開催されたものである。

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The Plays of William Shakespare: Accurately Printed from the Text of the Corrected Copies.

George Steevens and Edmond Malone
London : Printed for T.T. and J. Tegg, 1833  【所蔵情報(電子資料あり)】

本書のようなシェークスピアの作品集は、英文学研究に欠かすことができない。近代美術界の先覚者岡倉天心の実弟である東京高師教授岡倉由三郎(1868-1936)旧蔵で、扉にその署名がある。岡倉は英語学者・英文学者で、研究社『新英和大辞典』の編者としても知られ、教育大教授福原麟太郎(1894-1981)をはじめ多くの人材も育成した。岡倉文庫は英語・ドイツ語・フランス語・オランダ語・ラテン語・朝鮮語などの文献から成り、幕末から明治初年にかけての稀少な辞典・学習書も含む。(F540-s211 / 貴重書)

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体育論

リーランド述
[製作地不明] : 坪井玄道 [写], [明治12-14年間]  【所蔵情報(電子資料あり)】

体操伝習所旧蔵。同所および東京師範学校の御雇外国人ジョージ・アダムス・リーランド(1850-1924)の講義録。講義は学校体育の父と呼ばれる坪井玄道(1852-1922)により通訳された。(ホ520-145 / 貴重書)

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寺子屋報告書

[製作地不明] : [製作者不明], [1---] 【所蔵情報(電子資料あり)】

教育学・教育史研究者であった東京高師・文理科大教授乙竹岩造(1875-1953)の旧蔵書で、江戸時代の寺子屋「松月堂」の聞き取り調書である。乙竹はこれらの調書や往来物と呼ばれる寺子屋の教科書を基に『日本庶民教育史』を著し、昭和7(1932)に東京文理科大学から初の学位(文学博士)を授与された。(ホ200-470)

寺子屋報告書の写真