令和2年度筑波大学附属図書館企画展
もう一度見たい名品 ~蔵出し一挙公開~

電子展示 もう一度見たい名品

平成26年度企画展

図書館を飛び出した書物たち

平成26年度特別展ポスター

会期:平成26年10月20日~11月21日

附属図書館の所蔵資料を出版物等に掲載するための利用申請は、過去30年間で700件以上に及び、近年はテレビやインターネット等での画像の利用等も増えている。教科書に掲載された作品や各種研究で取り上げられたお墨付きの古典籍、メディアで紹介された資料など、図書館から飛び出して一般の方が目にする機会の増えた書物たちを選定し、それらが掲載された出版物等とあわせて展示した。

【平成26年度企画展公式Webサイト】


南総里見八犬伝 9輯98巻

曲亭馬琴著 柳川重信ほか画
江戸 : 丁子屋平兵衛, [天保3年以降]  【所蔵情報(電子資料あり)】

八人の犬士の活躍を記した読本。馬琴の代表作であるとともに、江戸時代の戯作を代表する作品である。表紙には、犬の子や縁起物など犬にちなんだ趣向を凝らしたデザインを用いている。本書は文化11(1814)年に刊行を開始し、28年をかけて天保13(1842)年に完結した。当初は山青堂山崎平八により出版されたが、28 年間に3度版元が変わった。当館蔵書は文渓堂丁子屋平兵衛による後刷本であるが、小学校の教材である『社会科資料集6年 2014』(文溪堂)に図版が掲載されている。(ル156-15 / 貴重書)

南総里見八犬伝の写真

住吉物語絵巻 2軸

[書写地不明] : [書写者不明], [室町時代初期-中期] 【所蔵情報(電子資料あり)】

鎌倉時代の中世王朝物語である『住吉物語』を絵巻仕立てにしたもの。主人公の姫君が様々な迫害に遭いながらも最後には幸せになり、継母は人々に疎まれながら世を去るという典型的な継子物語である。本絵巻は零巻(不完全本)であるが、制作年代が古く、貴重かつ秀麗な絵巻で、当館開館10周年記念絵葉書など、学内広報でもしばしば引用されてきた。(ル120-364 / 貴重書)

住吉物語絵巻の写真

鯰絵

[出版地不明] : [出版者不明], [185-] 【所蔵情報(電子資料あり)】

安政2(1855)年10月に江戸を襲った大地震は大きな被害をもたらしたが、この安政大地震を契機に出版された鯰をモチーフとする浮世絵版画を一般に「鯰絵」と呼んでいる。描かれた内容は多様であるが、地震を起こした鯰に対する懲らしめを装いながらも、職人たちにとって鯰は復興景気によって世直しをもたらす存在として描かれるなど、災害という非日常の中での地震に対する庶民感情の変化を反映したものとなっている。当館では2枚続きのもの1種を含め、22種23枚の鯰絵を所蔵している。東日本大震災以降、防災教育を目的とした利用が増加しており、『防災教育補助教材3.11を忘れない』では、当館所蔵の画像を掲載している。(726.1-N47 / 貴重書)

鯰絵の写真
平成27年度特別展

数学の叡智―その探求と発展―

平成27年度特別展ポスター

会期:平成27年9月28日~11月8日

本学における理数系領域初の展示で、数学関係の貴重な資料を公開したもの。ユークリッドの『原論』を始めとする著名な数学者の著書に加え、和算に関わる資料も展示された。古代ギリシャを出発点とする数学が、デカルトの提唱した普遍数学としてヨーロッパで広まった流れを紹介すると同時に、日本での数学の歴史についても触れ、その歴史文化的価値や教育的重要性を明らかにした。

【平成27年度特別展公式Webサイト】


Euclidis Megarensis mathematici clarissimi Elementorum geometricorum

Basileae : apud Iohannem Heruagium, mense Augusto [Aug.], anno 1537 【所蔵情報(電子資料あり)】

数学のバイブル、ユークリッド『原論』は、聖書に次いで版を重ねた書物とも言われる。全13 巻からなり、第I 巻~ VI 巻は平面図形と比例論、第VII 巻~ IX 巻は数論、第X 巻は無理量論、第XI 巻は立体図形、第XII 巻は面積・体積、第XIII 巻は正多面体などが記されている。定義、公準、公理、命題、作図題、証明で記述され、証明では背理法も用いられる。その記述形式それ自体が学術体系の象徴とみなされた。(414-E82 / 貴重書)

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Geometria, a Renato Des Cartes, anno 1637 Gallice edita

Amstelodami, : Apud Ludovicum & Danielem Elzeviros, 1659 【所蔵情報(電子資料あり)】

デカルト(1596-1650)の『幾何学』は、『方法序説』(仏語版1637)に対する試論であり、彼が提唱した「普遍数学」の本体である。本書では、真理を導く発見法が、求めるべき未知数xを仮定する「代数における解析」という方法に解題され展開される。彼は、アポロニウス-パッポス以来の高次作図題を解くことで、その卓越性を示した。(414-D64 / 貴重書)

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新篇塵劫記 3巻 (存2巻)

吉田光由 [著]
[出版地不明] : [出版者不明], 寛永18 [1641] [跋]  【所蔵情報(電子資料あり)】

『塵劫記』( 初版寛永4(1627) 年) は、江戸時代を通じて改版され続け、数学の代名詞とも言われた和算書である。万人が愉しめる文化の形成は、その改版過程で生み出された遺題継承に求められる。海賊版や類書に対抗し吉田光由は、寛永18(1641) 年に解答がない問題12 問( 遺題) を加えて増補する。筑波大学が所蔵する内の1 点はその最初の遺題本である。その遺題に対して、解答を載せさらに遺題を提示するという出版合戦へと時代が進んでいく。やがて庶民は、算額に自らの研究成果をまとめて社寺に奉納し、先端数学まで学ぼうとする文化的営みを実現するようになる。それは、世界的にみても稀有な数学文化であった。(コ200-60)

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2016年度特別展

歴史家 二宮宏之の書棚

平成28年度特別展ポスター

会期:平成28年10月11日~11月13日

戦後日本の西洋史学を牽引した二宮宏之氏は、フランス絶対王政期の国政史や社会史、思想史を専門とし、長らく東京外国語大学で教鞭をとられた。平成24(2012)~28(2016)年度に寄贈された9,000冊に及ぶ「二宮文庫」は、二宮家での配置をほぼそのまま踏襲し、二宮史学の全容をうかがい知ることができる。二宮氏の没後10周年の節目に、稀覯書を中心にして歴史家の肖像と仕事を紹介した。

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Les caracteres originaux de l'histoire rurale francaise

Marc Bloch
Paris: Armand Colin, 1952.【所蔵情報】

マルク・ブロックの代表作。初版1932年刊行の本書は、発展段階と地域類型を問題関心とし、遡行的・比較的方法を用いた画期的農村史。 すぐ売り切れ、日本には少部数しか入っていない。敗戦後の日本では、農村問題は学問的にも焦眉の課題であったから、二宮は個人で日本銀行にこの本(1952年再版)の輸入を申請した。戦後七年を経てもドル不足により個別の審査が必要だった。 邦訳は、『フランス農村史の基本性格』(河野健二・飯沼二郎訳、創文社、1959)として出版。(235.05-N76-7-807)

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Cinq livres dv droict des offices, avec le livre des seignevries, et celvy des ordres

Charles Loyseav
Paris: Chez la Veuve Abel l'Angelier, 1613.【所蔵情報(電子資料あり)】

『官職論ならびに権力論、身分論』(パリ、1613)。著者のシャルル・ロワゾー(1564-1627)は、17世紀フランスを代表する法学者であり、法の実務家。サンス上座裁判所判事、ロングヴィル公妃所領の代官、パリの弁護士組合長を務めた。彼の著作は広く読まれ、生前に二つの版、歿後に五つの版の著作集が刊行された。本書は、生前の二つの版のひとつ。「官職論」(1610)、「権力論」(1608)、「身分論」(1610)などを収める。(235.05-N76-11-75 / 貴重書)

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Le ceremonial francois, 2 vols.

Theodore Godefroy et Denys Godefroy
Paris: Chez Sebastien & Gabriel Cramoisy, 1649. t. 1er 【所蔵情報(電子資料あり)】 t. 2nd 【所蔵情報(電子資料あり)】

『フランス儀典書』(パリ、1649)。16世紀半ば以降、王権の伸長とともに宮廷がその存在を大きくすると、儀礼についての関心が高まり、複数の儀典書が編まれることになった。本書はその代表的なもので、いずれも法学者で王室修史官であるテオドール(1580-1649)及びドニ・ゴドフロワ(1615-1681)父子の手になる。1619年にテオドールが本書の原型となる儀典書を刊行していて、本書はドニが新たな史料を加えて刊行したもの。成聖式、入市式、婚礼、出生祝賀、三部会、名士会、親裁座、修道行列、テ・デウムが扱われている。(235.05-N76-11-71.72 / 貴重書)

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