令和2年度筑波大学附属図書館企画展
もう一度見たい名品 ~蔵出し一挙公開~

電子展示 もう一度見たい名品

平成16年度特別展

オリエントの歴史と文化―古代学の形成と展開―

平成16年度特別展ポスター

会期:平成16年10月25日~11月5日

筑波大学における古代オリエント学は、東京教育大学の時代を含め、半世紀以上の誇るべき蓄積を有する。古代学の礎が形成され、発展を遂げてきた過程を、附属図書館が所蔵する貴重なオリエント学の関係資料を展示することによって示し、本学のオリエント学における成果を公開した。本展示は、筑波大学のオリエント学が、古代メソポタミア研究・旧約聖書学をはじめ、エジプトやギリシアを含めて広く展開していることを明らかにしたものである。

【平成16年度特別展公式Webサイト】


Discoveries in the Ruins of Nineveh and Babylon: With Travels in Armenia, Kurdistan and the Desert

A. H. Layard, London : John Murray, 1853 【所蔵情報】

『ニネヴェとバビロンの遺跡における発見 : アルメニア,クルディスタン,砂漠での旅行』は、19世紀半ば、メソポタミア古代遺跡の本格的調査の幕開けとなる記念碑的発掘調査を指揮したイギリス人レヤード(1817-94)の著作。1849年から1851年まで、大英博物館の出資によりレヤードが2度目に実施したニネヴェのクユンジク、ニムルド、バビロンなどの発掘を報告している。レヤード自身によって描かれた200以上の豊富なイラストを使い、発見された宮殿の浮彫や彫刻を中心として、 遺物や遺構を紹介する。また詳細な地図と旅行記は、当時の西アジアについての民俗学的な情報を提供する。(H120-l33)

ニネヴェとバビロンの遺跡における発見 : アルメニア,クルディスタン,砂漠での旅行

The Aleppo Codex, facsimile edition

Moshe H. Goshen-Gottstein, Jerusalem : Magnes Press, Hebrew University, 1976【所蔵情報】

この写本は10世紀前半に書かれ、エルサレムからカイロを経て14世紀末にアレッポに渡った。写本の奥付によると、アアロン・ベン・モーセ・ベン・アシェルが自ら書いた写本ではないが、彼が母音記号とマソラ注釈を付けたという。母音記号には細心の注意が払われ、多くの学者によって写本の手本とみなされていた。20世紀前半まで全文が良好に保存されていたが、1947年の反ユダヤ暴動の際に破損し、約1/4(創世記1:1から申命記28:26まで、および雅歌3:12から最後まで)が失われた。 現在はエルサレムのイスラエル博物館に保管され、1976年に復刻版(本書)が出版されている。(193.1-Ma31 )

アレッポ・コデックス

Ilias Ambrosiana : Cod.F.205 P. Inf. Bibliothecae Ambrosianae Mediolanensis, facsimile edition

Berna : In Aedibus Urs Graf, 1953 【所蔵情報】

ミラノ・アンブロジアーナ図書館所蔵の彩色画入り大文字手写本。紀元後5世紀頃、おそらく地中海東部地域において制作されたと考えられる。1819年、この秘蔵本を当時の図書館司書アンジェロ・マイ(1782-1854;後にヴァチカン図書館館長,1838年に枢機卿)がスケッチし、その銅版画が公刊された。その後1905年にはモノクロの、さらに1953年にはカラー版による800部限定のファクシミリ本が公刊され、本学にはその一つが所蔵されている。『イリアス』の一手写本をめぐり、両面書きテクストの随所に挿入された彩色画(ミニアチュール)部分のみが切り取られて残された結果、ミニアチュールの裏側にたまたま存在する『イリアス』の箇所と、彩色画だけが伝わったものである。(F400-h24)

(ホメロス)『イリアス・アンブロジアーナ』
平成17年度特別展

江戸前期の湯島聖堂―筑波大学資料による復元研究成果公開―

平成17年度特別展ポスター

会期:平成17年10月8日~10月30日

明治時代に湯島聖堂址に開学した師範学校を前身とする本学ならではの所蔵品として、湯島聖堂ならびに昌平坂学問所の資料群がある。筑波大学芸術30周年記念事業として、美術史、絵画、彫刻、CGの専門家が集結して、 これらの素材を活用し湯島聖堂創立当初の礼拝空間を復元するという新たな研究を行い、その成果を図書館所蔵資料とともに一般公開した。

【平成17年度特別展公式Webサイト】


歴聖大儒像

狩野山雪画
[江戸] : [林羅山], [寛永9 (1632)] 【所蔵情報(電子資料あり)】

『歴聖大儒像』21幅のうち筑波大学に蔵する宋儒6幅(他の15幅は東京国立博物館蔵)は当時の釈奠に使用されたもので、『昌平志』所載の「殿上列位図」によると、孔子を中心に左右に四配(顔子・曾子・子思・孟子)の彫像が南向きに並び、両廡(両脇の部屋)に6人の宋儒が従祀されていた。釈奠にあたってこの6幅の画像が掛けられたのである。これらの像は『礼記』王制にいう「昭穆」の制という祖先の位牌を並べる序列の法則によって左右に振り分けて配列されており、現存の画像人物の向きが北中央に向くように描かれている点でも、実際の使用の様相が分かる貴重な資料である。 本画像の制作にあたって、林羅山、堀杏庵、松花堂昭乗、さらには当時来日していた朝鮮通信使副使金世濂ら一流文化人たちが関わっていることが、林羅山『聖賢像軸』、羅山の子息林鵞峰『狩野永納家伝画軸序』、『堀杏庵尺牘』など複数の文献資料から知ることができる。(721.4-Ka58 / 貴重書)

歴聖大儒像の写真

賢儒図像扁額模本

[書写地不明] : 松谷天来写, [書写年不明]  【所蔵情報(電子資料あり】

筑波大学所蔵『賢儒図像扁額模本』14枚は、湯島聖堂内に掛けられていた先賢先儒89人を描いた16枚の扁額の模本である可能性が高い。落款等はなく、各図裏には朱文方印「松方天来」「東京高等師範学校図書館印」が確認できる。薄紙を幾枚も繋いた料紙に、図の寸法や配置、各賢儒の尊名を示す紙が貼付され、着衣部分には色を指示する文字が書き込まれるなど、実際に扁額を描くための記録的な模本であったと推測される。(カ210-192)

賢儒図像扁額模本の写真

昌平坂学問所日記 : 寛政十二年閏四月十六日~六月十五日

[江戸] : [製作者不明], 寛政12 [1800] 【所蔵情報(電子資料あり)】

学問所日記は、寛政12(1800)年から文久2(1862)年に至るもので、当番儒者名、釈奠や試験などの学校行事の準備・実施の状況、日常授業の担当者・内容等、学生の入退学・儒者らの病欠、学校内外の人事等に関するやりとり、幕府行政に関すること等が記録されている。(昌平坂 / 貴重書)

昌平坂学問所日記の写真
平成18年度企画展

中国三大奇書の成立と受容―『三国志』『水滸伝』『西遊記』は どのように読まれ、描かれたか―

平成18年度企画展ポスター

会期:平成18年10月2日~10月27日

附属図書館が所蔵する中国三大奇書(「三国志演義」、「水滸伝」、「西遊記」)に関する貴重な資料及び基本図書を「成立と受容」という観点でピックアップして公開した。 展示品は、「西遊記」成立の基となった『大唐西域記』や明・清代に刊行され定本となった三大奇書の諸本、日本で刊行され読み継がれた翻訳本や絵本、さらに今日親しまれているマンガやアニメまで多岐にわたる。

【平成18年度企画展公式Webサイト】


大唐西域記 12卷

[出版地不明] : [出版者不明], [1---]【所蔵情報】

明末、玄奘の取経旅行中の見聞を弟子の弁機が筆録したもの。『西遊記』成立の基となった。本書には三つ葉葵と「知恩院」の印が見られる。(ネ357-2)

大唐西域記 12卷の写真

精鐫合刻三國水滸全傳 20巻首1巻

(明)熊飛編
[出版地不明] : 雄飛館, [崇禎年間] 【所蔵情報(電子資料あり)】

上段には水滸伝(評林本)が下段には三国志通俗演義が配されている。なお、内閣文庫蔵である『二刻英雄譜』には本館蔵本の装飾枠がない。(ル385-2 / 貴重書)

精鐫合刻三國水滸全傳の写真

稗史水滸傳・国字水滸伝

山東庵京山, 柳亭種彦, 厚田仙果, 金水譯 ; 歌川国吉画
江戸 : 大黒屋平吉, 文政12-弘化4 [1829-1847] 【所蔵情報】

6編までの書名:稗史水滸伝、7編以降の書名:国字水滸伝
『忠義水滸伝』を抄訳した合巻。作者・板元とも複雑な変遷をとげている。画工は一貫して歌川国芳が起用されているが、これは水滸伝の人気とともに、国芳の絵を中心とする絵本としての人気にあやかろうとした企画でもあったからであろう。(ル156-41)

稗史水滸傳・国字水滸伝の写真