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> プロローグ 災いのしるし
> 第1章 災害列島・日本 ― 歴史に見る災いの痕跡
> 第2章 地域の災害と復興 ― 各地の声と記録
> 第3章 鯰絵と信仰 ―「 見えない力」との対話
> 第4章 文化財救出と未来への記憶 ― つなぐ・守る・語り継ぐ
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第4章 文化財救出と未来への記憶 ― つなぐ・守る・語り継ぐ
大正12(1923)年火災で被災した資料『浜荻日記』(左)、『訓訳示蒙』(右)
『浜荻日記』は藤原古風著の紀行文で文化6(1809)年成立、全3巻。同名書も存するものの本書は孤本の可能性がある。火災のため一部が焼失している。『訓譯示蒙』は荻生徂徠(1666-1728)著の漢文文法書で明和3(1766)年刊、全5巻。火災の際の放水消火活動によるのか全体に水損が見られる。
東日本大震災で被災した中央図書館の書架
中央図書館3階と4階における被災直後の書架の写真。落下した図書が通路に散乱している。被災当時、中央図書館では約400人が利用中、56人が勤務中で、利用者は停電中の館内を職員の誘導で屋外へ避難し、その後職員も所定の場所へ避難した。中央図書館全体で約110万冊の図書が落下したため避難時の動線確保が困難だったという。3月29日から一部サービスを再開した。4月からは復旧ボランティアの活動も始まり、5月12日にはすべてのサービスを開始した。
東日本大震災で被災した体育・芸術図書館の書架
体育・芸術図書館における被害書架の写真。同図書館では約19万冊の図書が書架から落下したり倒壊した書架の下敷きになったりした。また一部の通気孔が天井から落下し床に散乱した。5月には臨時窓口を設けて資料提供を開始したが建造物の耐震補強工事のため12月に一時閉館、全面復旧には1年余を要した。
東日本大震災で被災した医学図書館の書架
医学図書館における被害書架と水濡れ図書の写真。同図書館では約11万冊の図書が書架から落下したほか、天井部温水管の破損により医学基本図書約2千冊が水濡れ被害を受けた。3月29日から天井落下の危険か所を立入禁止にしてサービス再開、水濡れ図書については代替図書の購入と一部の修理を行った。
東日本大震災で被災した図書館情報学図書館の書架
復旧ボランティアによる落下図書の配架作業
図書館情報学図書館1階の被害書架及び復旧ボランティアによる作業の写真。同図書館で書架の倒壊はほぼなかったが約9万冊の図書が書架から落下した。中央図書館職員の協力も得て3月29日から1階のみサービスを再開、4月からは復旧ボランティアの参加を得て4月8日から全面復旧を果たした。
福島県双葉町上羽鳥地区で実施した歴史資料の救出
(平成27(2015)年3月撮影 双葉町教育委員会提供)
東京電力福島第一原子力発電所事故で放射性物質が飛散した双葉町の立入制限区域(帰還困難区域)における被災文化財の搬出作業。対象となったのは1990年代に『双葉町史』編さん事業で調査された旧家の近世~近代の歴史資料で、現蔵者の依頼により実施した。空気中の放射性物質を体内に取り込んだり区域外へ持ち出したりしないよう、作業者たちは白いタイベックスーツを着込み、靴にも白いカバーを装着している。
双葉町役場原子力対策室作成記録模造紙のうち③④
(平成26(2014)年8月撮影)
平成23(2011)年3月11日18時30分頃から翌12日12時過ぎまで書き続けられた、福島第一原子力発電所事故に関する東京電力、福島県及び町内の動向を記録した模造紙。全4枚。双葉町役場庁舎2階にあった企画課原子力対策室が作成、掲示。当時の企画課長によれば、情報の共有と後世への記録のため作成を指示したとのこと。現在、資料の現物は筑波大学白井研究室が救出、保管しており、現地には同研究室作成のレプリカが掲示されている。
国立台湾歴史博物館で展示された双葉町の震災資料
(平成29(2017)年9月撮影)
福島第一原子力発電所事故に伴う全町避難を強いられた双葉町は平成23(2011)年4月から平成25(2013)年6月まで埼玉県内に支所を設置した。その間に国内外から双葉町へ多くの支援品や激励の品々が寄せられた。これらの資料は双葉町教育委員会と筑波大学図書館情報メディア系の協定により春日エリアで保管している。写真は、その一部が平成29年に国立台湾歴史博物館の特別展「地震帯上的共同体 : 歴史中的台日震災 ― 地震帯上の共同体 : 歴史の中の日台震災 」へ貸し出されて展示された様子。
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