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第IV部 本を分類する

32. 漢書 100巻24冊

(漢)班固撰 ; (唐)顔師古注 【所蔵情報】

漢書 100巻24冊漢書 100巻24冊
後漢班固(32-92)による『漢書』芸文志は現存する中国書目の最古のもの。散逸した前漢劉向(前77-前6)・劉歆(?-23)父子の『七略』が土台となっており、六部分類法(六略-六芸略〈経書など〉・諸子略〈諸子百家〉・詩賦略〈文学作品〉・兵書略〈兵法書〉・数術略〈天文暦法〉・方技略〈医書など〉-)を踏襲している。当時現存していた書名・篇数・巻数を記し、作者・時代および諸学派の源流なども記述している。

33. 隋書 巻32-35 (二十四史:228-229) 

長孫無忌等撰 五洲同文局 光緒29(1903)年刊 
【所蔵情報(巻32-33)】 【所蔵情報(巻34-35)】

隋書 巻32-35 (二十四史:228-229) 隋書 巻32-35 (二十四史:228-229) 
中国正史の一つで、唐太宗の命を受けて、最終的に顕慶元(656)年に完成した。その経籍志の四部分類は、『漢じゅんきょく書』芸文志以来の図書分類法の集大成で、その後の漢籍分類法の基礎となった。すでに晋荀勗(?-289)『中経簿』において甲(六芸)・乙(諸子・兵書・数術・方略)・丙(史書)・丁(詩賦)の四部分類がなされ、その後、史書の盛行を受けて乙・丙の2部の順序を逆にして、経籍志に至って、経・史・子・集の四部となった。四部の後に道経、仏経を付録している。

34. 日本国見在書目録 1冊

藤原佐世勅撰 嘉永4(1851)年跋 【所蔵情報】

日本国見在書目録 1冊日本国見在書目録 1冊
寛平3(891)年ころ成立か。「見在」とは現存の意で、当時宮中に存在した漢籍の目録。『隋書』経籍志に従って、四部こそ示さないが、易家から惣集家まで40家に分け、書名・巻数を記し、まま撰者名その他を注記する。中国の経籍志などに記載されない逸書が多く著録されており、文献学上貴重な情報を提供する。室生寺旧蔵平安時代末期古写本一帖(宮内庁書陵部蔵)が現存唯一で、本書はそれに基づいた『続群書類従』884巻所収本。

35. 古逸叢書 19 (48冊のうち)

(清)黎庶昌輯 東京 : 遵義黎氏 光緒10(1884)年刊 【所蔵情報】

古逸叢書 19 (48冊のうち)古逸叢書 19 (48冊のうち)古逸叢書 19 (48冊のうち)
清の駐日全権公使黎庶昌編。中国本土ではすでに散逸してしまい、日本にだけ残っていた漢籍26種を集めて叢書にしたもの。明治17(1884)年東京で刊行された。主として校刻の仕事にあたったのは、前年より日本に来ていた楊守敬で、森立之らの誘導によってこれらの旧書を探り出すことができたという。『日本国見在書目録』は日本人作ではあるが、中国本土では逸失した書物を多く著録しているため編入された。

36. 類聚国史目録 1冊

江戸時代 【所蔵情報】

類聚国史目録 1冊類聚国史目録 1冊
『類聚国史』は寛平4(892)年ころに菅原道真が『日本書紀』以来の五国史および延喜元(901)年に完成する『日本三代実録』に基づいて、六国史の編年記事を、検索の便を計るため、内容によって分類・編集したもの。部類は『芸文類聚』や『初学記』など中国類書の影響を受けている。もと200巻から成っていたらしいが、現在、巻の形をして伝えられているのは、わずかに61巻である。現存する巻などによって知られる部名は、神祇・帝王・後宮・人・歳時・音楽・賞宴・奉献・政理・刑法・職官・文・田地・祥瑞・災異・仏道・風俗・殊俗の18部である。本書は表紙に「太宰府天満宮御文庫蔵書/類聚国史残冊目録」とあり、部立ておよび細目を書き上げ、他本の情報も書き加えたもので、逸失した巻の推定資料として貴重なもの。

37. 類聚国史 1軸 (尊経閣叢刊)(複製)

菅原道真著 東京 : 育徳財団 昭和7(1932)年 【所蔵情報】

類聚国史 1軸  (尊経閣叢刊)(複製)類聚国史 1軸  (尊経閣叢刊)(複製)類聚国史 1軸  (尊経閣叢刊)(複製)
前田育徳会尊経閣文庫蔵の平安時代末期に遡ると考えられる巻165「祥瑞部上」の巻子本写本の複製。原態を伝えたもの。前田家は菅原氏の後裔を称したので、道真関連の書物を蒐集していた。

38. 倭名類聚鈔 20巻10冊

源順撰 村上勘兵衛 寛文7(1667)年刊 【所蔵情報】

倭名類聚鈔 20巻10冊倭名類聚鈔 20巻10冊
平安時代の分類体漢和対照辞書。承平年間(931-938)ごろ成立。約2600の漢語を分類し、その文例・語釈を漢籍から引用して、割注で字音や和訓を示す。 順の序によると、中国の「一百帙の文館詞林と30巻の白氏事類」では「風月の興」のみで、「世俗の疑い」を決するために、和書の漢語対訳語彙集である『楊氏漢語抄』『弁色立成』(いずれも逸書)から語彙を集成したという。分類は基本的に中国類書を踏襲し「天地」「人物」「草木」の順に、24部128門を10巻にまとめたとある。本書は増補された20巻本。

39. 本朝書籍目録 1冊

江戸時代 【所蔵情報】

本朝書籍目録 1冊本朝書籍目録 1冊
編者未詳。鎌倉中期の成立。『日本国見在書目録』が漢籍の分類目録であったのに対して、本書は和書の最古の分類目録。書名493点を神事、帝紀、公事などの20部門に分類している。書名の下に巻数と作者を注記しただけの目録であるが、散逸した書物の名がみられ、鎌倉時代以前の和書に関する貴重な資料である。逆に『竹取物語』『土左日記』『更級日記』などは採録されていない。

40. 大藏目録 3巻3冊

京都 : 西村又左衛門 寛永19(1642)年刊 【所蔵情報(電子資料あり)】

大藏目録 3巻3冊大藏目録 3巻3冊大藏目録 3巻3冊
仏教典籍を集成したものを大蔵経または一切経と言う。本書は高麗高宗23(1236)年から15年余かけて出版された再雕本の目録。江戸時代初期に伊勢の天台宗僧宗存が日本で高麗大蔵経の開版を目指すも未完に終わったが、出版にあたって慶長19(1614)年に大蔵経刊行予告の形でこの目録を出版している。本書は寛永19年に整版で復刻したもの。大乗経(般若、宝積、大集、華厳、涅槃)、小乗経、大乗律、小乗律、大乗論、小乗論、賢聖集と中国南北朝以来の『開元録』の経典分類法に基づいている。

41. 新板増補書籍目録 : 作者付大意 1冊

京 : 山田市郎兵衛 寛文11(1671)年刊 【所蔵情報】

新板増補書籍目録 : 作者付大意 1冊新板増補書籍目録 : 作者付大意 1冊新板増補書籍目録 : 作者付大意 1冊
戸時代、万治・寛文(1658-1673)期以後の各時点で、出版・販売されている図書を掲載した目録。巻冊数、作者、書価、書評などを記したものも多い。本書は京都の本屋、山田市郎兵衛版。和書は草書、漢籍・仏典などは楷書で記されている。

42. 経籍訪古志 6卷補遺1巻8冊

(日本)渋江全善, (日本)森立之撰 光緒11(1885)年序 【所蔵情報】

経籍訪古志 6卷補遺1巻8冊経籍訪古志 6卷補遺1巻8冊
江戸時代末に日本に伝存した漢籍の古写本、古版本を解説した書。森立之(枳園)らの編で全8巻。安政3(1856)年成立。中国宋・元・明および朝鮮の古版本、日本の慶長(1596-1615)以前の古写本や古活字版など760部を四部分類で収め、書名、巻数、所蔵者、序跋、奥書、蔵書印記などを詳細に記録している。清朝考証学を継受した江戸期における書誌学屈指の業績である。本書は中国で刊行された。

43. 菅家伝 1軸 (尊経閣叢刊)(複製)

侯爵前田家育徳財団編 東京 : 侯爵前田家育徳財団 昭和19(1944)年 【所蔵情報】

菅家伝 1軸 (尊経閣叢刊)(複製)菅家伝 1軸 (尊経閣叢刊)(複製)
菅原道真(845-903)没後30年あたり930年ころに成立したと考えられる道真の最古の伝記。鎌倉時代の古写本が鎌倉荏柄天神社に伝わり、本書はそれを元禄2(1689)年に加賀藩主前田綱紀(1643-1724)が模写させた尊経閣文庫蔵本の複製本。原本内題は「北野天神御伝并御詫宣等」であるが綱紀が「菅家伝」と名付けた。巻頭に来歴を記した綱紀の識語があり、紙背に「証本 史中 伝」と自筆朱書による分類が書かれている。