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導入部 外来文化の受容と日本文化の発信

日本は、古くは朝鮮半島から漢字が伝わり、遣隋使・遣唐使を通して当時の先進文化を中国から取り入れ、明治以降は主として政府派遣留学生を通して西洋から近代文化を摂取してきた。日本にとって進んだ文化は、船で運ばれた舶来品であった。

こうした外来文化の受容一辺倒であった日本も1980年代に入ると、たとえば日本製アニメが中国・韓国などのアジア諸国に、そして世界に発信し受容されてきた。

中国語圏では、『ドラえもん』は、“機器猫”と訳され「機械・ロボット猫」の意であり、またローマ字を挟んだ“哆啦A夢”とも音訳され(漢字に口ヘンが付いて音訳であることを示す)、また“小叮当”とも音訳されている(「小」は親しみを表わし「叮当」は銅鑼の擬音語、やはり口ヘンが付く)。三種の意訳と音訳は中国語圏の多様性を反映しているようにも思われる。『ドラえもん』だけでなく、多くマンガやアニメが発信されている。 

こうした日本製のマンガやアニメを受容した国や地域では翻訳や吹き替えがなされ、その影響を受け日本のものとは趣を異にする独特の作品が生まれている。

人間が行き来して、モノをやり取りして新しい文化が生み出されてきた文化接触は、これまでにいつの時代にも、さまざまな地域で行われてきた。

今日見られる日本製のマンガやアニメの発信と受容が400年前の江戸時代の日本にもたらされた『三国志』『水滸伝』『西遊記』についてもいえるのではないだろうか。今回の企画展はこのような疑問から出発した。

なお、本企画展では中国文学史で使われる「四大奇書」から『金瓶梅』を除いた上述3書を「三大奇書」と呼ぶ。成書過程の違いや日本人の受容度の違いを考えての命名である。また『三国志』とは『三国演義』あるいは『三国志演義』を指し、字体も通用の字体を用い簡略に従った。

中国で出版された日本製のマンガの数々

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