会期中に皆様からお寄せいただいたご質問にお答えしています。
「三国志の史実と物語の違いは?」、「水滸伝のここが知りたい」、「猪八戒はなぜ豚になっちゃったの」など、三大奇書についてのご質問を「ご質問・お問い合わせ」のコーナーからお寄せください。 |
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中国三大奇書について |
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Q
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「三大奇書」の「奇」の意味を教えてください。稀な、素晴らしい、不思議な・・・などが考えられますが... | |
A
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「三大奇書」の「奇」は、ご推察のとおり「稀な、素晴らしい、不思議な」などの意味だと思います。中国語の「奇」に相当する日本語がないので、「奇」をそのまま使っています。そんじょそこらにあるものではない、といった語感です。
参考リンク:中国三大奇書(Wikipedia) |
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Q
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「日本の三大奇書」というものはありますか? | |
A
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日本の三大奇書は、一部のファンが日本の三大推理奇書を決めているようです。Wikipedia(誰でも編集できる、フリーな百科事典)によると、「黒死館殺人事件」(小栗虫太郎)、「ドグラ・マグラ」(夢野久作)、「虚無への供物」(中井英夫)の3冊が挙げられています。残念ながら三国志、水滸伝、西遊記ほどの認知度はないようです。
参考リンク:三大奇書(Wikipedia) |
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Q
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関羽は現在でも関帝廟に祀られるなどして神格化されていますが、三大奇書のその他の登場人物で現在も祀られていたりする人はいるのでしょうか。(地域は日本でも本場中国でもかまいません。) | |
A
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「神」をどのように考えるかで違ってくるかも知れませんが、三大奇書に限れば「廟」に祭られているのは関羽だけでしょう。他には「文廟」には孔子、「岳廟」には岳飛が祭られています。前者は日本では菅原道真にあたる学問の神様です。もうひとつ「祠」があり、有名なものには成都にある「武侯祠」(ぶこうし)です。ここには、諸葛孔明が祭られています。もともとは劉備をはじめとする蜀の建国に功績があった28名の文官、武官の像が置かれていましたが、現在では諸葛孔明が中心的存在になっています。面白いことに、当初は、劉備の息子の劉禅の像もあったのですが 物語『三国志』が作り上げた劉禅の愚行のためか、その像は人々に何度も壊され、その後は撤去されたそうです。
(補足) 一方『西遊記』は、そもそも神様や妖怪が主要な登場人物ですので、最初から「神格化」されていたわけですが、三蔵法師一行の中で関羽と同様に現在でも祀られている登場人物として、孫悟空をあげることができます。孫悟空は、現在でも台湾に斉天大聖廟があり盛んに信仰されていますが、元来は福建地方の信仰が台湾に伝わったものだそうです。 ちなみに三蔵法師一行以外の登場人物では、玉帝(玉皇大帝)、二郎神等の信仰は現在でも盛んであり、『西遊記』に関しては、登場する神さまの大半はいまでも盛んに信仰があるといえるかもしれません。 この問題に関しては、ハンディながら内容の豊富な以下の資料が大いに参考になりますので、ご紹介します。 |
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三国志について |
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Q
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三国志では一般に諸葛亮のことを、他の人物とは違って、字を用いて諸葛孔明と表記するのはなぜでしょうか? | |
A
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これは日本人の「孔明びいき」(判官びいきのもじり)に由るものかもしれません。毎年中国語の教師として新入生に接していますが、今年は「○○孔明」という学生が教室に現れ驚きました。以前息子に「悪魔」と名づけた父親に非難が集まりましたが孔明くんがこれから、名前負けしないよう祈るばかりです。 | |
Q
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日本でも中国でも、劉備が善玉、曹操が悪玉とされるのは |
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A
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善玉・悪玉との区別は日中両国の文化だけでなく、すこし古いですが、騎兵隊が正しく、インディアンが悪玉というどこかのテレビドラマにも見られるように思います。史書『三国志』は、魏が正統王朝として史実が記述されています。『三国演義』は蜀を中心に物語が展開していますので、蜀の主人公・劉備が善で、ライバルの魏の主人公・曹操が悪と描かれたためだと思われます。 | |
西遊記について |
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Q
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西遊記を中国でドラマ化したものでは、三蔵法師を男性が演じていました。今日の日本では女性が演じるのが一般的です。2006年2月9日の朝日新聞の記事には、「女性でなければ徳の高いお坊さんの神秘性が出ない」と記されてありますが、中国では男性が演じているということは、中国人には男性であっても徳の高いお坊さんのイメージを与えられるものだということでしょうか?日本と中国の間に、感覚の差があるということでしょうか? | |
A
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新聞の解説はこじつけの感が否めません。日本テレビが女優を起用した意図は調べられませんでしたが、夏目雅子という個性に負うところが大きく、神秘性うんぬんは眉唾ものと思っています。現代中国における三蔵法師のイメージは、悪人の正体さえ見破れない「お人よし」といってよいでしょう。日本式『西遊記』はカッパと女性の三蔵でしょうか |
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Q
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西遊記の沙悟浄がカッパだというのは日本での話だそうですね。本来は中国ではどんなものとして描かれているのでしょうか。 | |
A
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沙悟浄はもと天上界の捲簾大将(けんれんたいしょう)が下界に落ちたのち、流砂河に住み着いたので沙悟浄と観世音菩薩から法名を与えられました。中国では妖怪です。妖怪には決まった顔かたちもなければ、体の特徴もありません。人間ばなれしていれば妖怪になります。ただ、沙悟浄は9つのドクロを首飾りのようにしていることは原文に明記されています。 |