筑波大学附属図書館報「つくばね」
≪シリーズ 図書館とボランティア  1≫  筑波大学附属図書館ボランティアについて
大久保 明美
1、はじめに
 筑波大学附属図書館では,開館以来「開かれた大学図書館」を目指し,筑波研究学園都市の研究機関や地域の方々に対し,さまざまなサービスの充実に努めてきました。さらに,平成7年度より生涯学習に対応した大学図書館サービスの実現を目指し,地域におけるボランティア活動の希望者に活動の機会を提供するため,国立大学の図書館としては初めて「大学図書館ボランティアの受入れ」を開始しました。このボランティア活動は,附属図書館の利用者に対する援助のため,自らの意思に基づき生涯学習の一環として,その知識・技能を無償で提供するものとして行われています。平成17年度は46名の方がボランティアとして登録され,月曜日から金曜日の午前(10時から12時),午後(1時から4時)の間に週1回以上活動しています。

2、活動内容
 ここではおもな活動内容を紹介します。基本となる活動は次の4つで,全員がいずれか1つ以上に参加することになっています。
(1)図書館総合案内
 中央図書館のボランティアカウンターで,館内窓口案内や資料配置・探索の案内,端末操作の案内,各種申込書の記入指導,身体に障害のある方や日本語に不慣れな留学生などの図書館利用の支援をします。求める資料が見つからないときなどに,利用者と一緒に書架まで行って探すなどボランティアならではのサービスも行っており,学内者はもとより,学外者および留学生の利用者も多く,親切な対応が利用者には心強いものとなっているようです。

(2)対面朗読
 中央図書館には対面朗読室があり,視覚障害のために活字での読書が困難な利用者に対して,専門のボランティアが朗読サービスを行っています。大学図書館の対面朗読は,資料の通読だけでなく図書館利用の支援なども求められることがあり,館内での資料探しの援助なども行っています。

(3)利用環境整備(主題別フロア整備)
 全面開架方式は利用者にとっては大変便利ですが,あるはずの場所にない迷子の図書を探し出すのは容易ではありません。ボランティアは中央図書館及び,体育・芸術図書館各階の書架の乱れを直したり,図書ラベルを貼り直したりして,利用者が使いやすいように環境を整えています。 

(4)体育・芸術関係資料整理
 体育・芸術図書館で収集している美術館・博物館等の展覧会のポスター整理を行っています。データを整理することによって,ポスターにも展覧会の図録のような資料的な価値が生まれ利用者への公開にもつながります。

このほかにも各自の希望により,図書館見学案内,留学生オリエンテーション補助,外国人のための日本文化紹介,図書館公開事業への協力,ボランティア広報紙の発行などを行っています。

3、研修
 附属図書館ボランティアとして登録されるためには,事前研修が必須です。事前研修はボランティア活動を行うために必要な,本学附属図書館の概要や図書館ボランティアとしての基礎知識などを中心とした講義を行います。活動を開始した後も,図書館では年に数回フォローアップ研修を行い,生涯学習の場を提供する役割を果たしています。また,ボランティア同士でも自主的に活動に必要な勉強会を開いています。

4、おわりに
 附属図書館ボランティア制度の導入から10年が経過し,その活動は図書館内においてもかなり定着してきました。附属図書館におけるボランティア活動が,地域の方々に知識や技能を生かす機会を提供し,大学図書館が生涯学習の一端を担うという役割においても大きな成果を挙げています。今後も図書館とボランティアが協力し,ボランティア活動の充実を図るとともに,よりよい利用者サービスを目指していきたいと思います。

(おおくぼ・あけみ 情報管理課専門職員)
<<前の記事へ |  目次へ |  次の記事へ>>
(C)筑波大学附属図書館