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シリーズ・電子ジャーナル
 (1)電子ジャーナルを使ってみよう

最近、電子ジャーナルという言葉をよく耳にします。電子ジャーナルとはいったい何でしょうか?どこで、どうすれば利用できるのでしょうか?どういう長所あるいは欠点があるのでしょうか?
こうした疑問にお答えするため、「つくばね」では電子ジャーナルをシリーズで取り上げ、最新の情報をまじえながら、電子ジャーナルに関するさまざまな話題をご紹介していく予定です。第1回目の今回は、電子ジャーナルとはどういうものか概略をお伝えするとともに、実際に電子ジャーナルを利用するにはどうしたらいいか簡単に説明したいと思います。

電子ジャーナルとは?

電子ジャーナルとは、文字通り学術雑誌を電子化し、コンピュータのディスプレイ上で見られるようにしたものです(図1)。図書館に出向かなくても、研究室などのパソコンからインターネットを通して出版社のホームページに接続し、いながらにして雑誌の記事を読むことができます。ネットワークを介してオンラインで利用するところから、オンライン・ジャーナルと呼ばれることもあります。以前は、ネットワークにつながっていないパソコンで利用するためCD-ROMで提供されたり、大学図書館がサーバを用意して、出版社から送付されたデータを蓄積し、学内に提供するといった方式のものもありましたが、最近ではあまり見かけません。

図1 (図1)

電子ジャーナルには無料のものと有料のものがあります。従来のような紙の冊子体でも出版・販売されている場合には、冊子体の雑誌を購入することによって電子ジャーナルに無料でアクセスできるものがかなりあります。ですから図書館で購入している雑誌を学内の端末から見るといったことが可能になっています。実は、現在のところ、筑波大学で利用していただけるのはほとんどこういう種類のものです。また、冊子体購読料に割り増し料金をプラスすることによって、電子ジャーナルが見られる場合もあります。電子ジャーナルだけでの契約を積極的に推進している出版社はまだあまりありません。この場合、バックナンバーへのアクセスが確実にできるかどうか不安という問題があります。
電子ジャーナルの契約に関しては、情勢がきわめて流動的で、いろいろな問題をはらんでいますので、また改めてお伝えする予定です。

電子ジャーナル出現の背景

これまで雑誌、特に海外の学術雑誌は、発行されてから図書館で見られるようになるまでずいぶん時間がかかったり、欠号が生じたりといった問題をかかえていました。これは紙という媒体に印刷して飛行機や船を使って輸送する以上、ある程度は避けられないことです。また、そうした印刷や輸送のコストは年々上昇し、それに伴って、学術雑誌の値段も、毎年、上昇の一途をたどっています。ところが、大学の資料購入予算は頭打ちであり、最近の円安傾向にも追い討ちをかけられて、どの大学でも、これまで購入していた雑誌を大量に中止せざるを得なくなっています。

一方において、インターネットの爆発的な普及に象徴されるように、コンピュータ・ネットワークを通じた電子的な情報のやり取りは、学術情報の流通のあり方を根本から変えようとしています。学術情報の生産者であると同時に消費者でもある研究者たちは、高価になってしまった上に情報の遅い紙の雑誌から、迅速な電子メールやWWWによる情報交換へとシフトしようとしているのです。学術雑誌の出版社にとってこれは死活問題であり、多くの出版社が競って自社の雑誌を電子化して提供するようになりました。
電子ジャーナルは先に述べたような未着・欠号の問題を解決しますし、電子的な形態のみで発行すれば、印刷や輸送にかかるコストや時間を大幅に削減できるはずです。しかしながら、実際には、一部の例外を除いて、どの出版社も冊子体の発行をやめていませんし、電子ジャーナルを冊子体より安い値段で販売することもありません。雑誌の価格問題の解決にはなっていないのが現状です。

電子ジャーナルを利用するには

前置きが長くなりましたが、百聞は一見にしかず、とにかく実際に電子ジャーナルにアクセスしてみましょう。電子ジャーナルの多くはアクセス制限があり、学内ネットワークに接続された端末からしか利用できませんのでご注意ください。
筑波大学電子図書館のWebサイトには、「オンライン・ジャーナル」のページ(http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/online-j/)が用意してあり、ここから各出版社の電子ジャーナルへのアクセスが可能となっています(図2)。お好みのタイトルを選んでマウスをクリックしていただくと、出版社のWebサイトへジャンプします。後はサイトによって手順が違いますが、おおむね、雑誌各号の目次→該当論文の全文表示といった具合にリンクをたどっていって本文を表示させることになります。論文のタイトルや著者、抄録中に含まれる語などで検索できるようになっているものもあります。

図2 (図2)

本文を表示させる際、PDFという文字を目にすることがあります。これはAdobe(アドビ)という会社が作り上げたファイル形式で、印刷物に近い画像が得られ、拡大・縮小が可能といった特長を備えているため、電子ジャーナルで広く使われているものです。この形式のファイルを表示させるためにはAcrobat Readerというソフトが必要です。これはAdobe社のWebサイト(http://www.adobe.co.jp/)から無料でダウンロードできます。図書館の端末にはすでに組み込んでありますので、そのまま表示できます。図1の例もPDF形式の論文を表示したところです。
表示させた論文はプリンタで印刷することもできますし、フロッピーディスクなどにダウンロードすることもできます。ただし、便利だからといって、片っ端から大量にダウンロードしたりすると出版社から警告を受けますので、節度をもって、本当に必要な論文のみでお願いします。

電子ジャーナルの利用に関する質問は電子情報係(内線:2470)で受け付けています。気軽にお問い合わせください。


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Last updated: 1999/06/23