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電子図書館の可能性

西原 清一

 いよいよ筑波大学の電子図書館(以下,DLと呼ぶ)がスタートすることになった。全国の教育機関の先陣を切って開設される実用を目指したDLであり,筑波大学の一構成員としてたいへん喜ばしいかぎりである。本学では附属図書館創設以来,全学の学術資料の電子化へ向けて関係各位の努力が積み重ねられてきたのであるが,その実績がいままさに実を結ぼうとしているのである。もとよりDLについては駆出しの筆者であるが,この機会に本学の電子図書館の未来についていくつか期待を述べさせていただきたい。

 それらは,思いつくままにおおよそ,

  1. 本学で所蔵・生産される情報の公開
  2. 一般の人を含む学外への貢献
  3. 学生が国際性・社会性を学ぶ場
という三つの側面が考えられる。

 まず (1)について。貴重書は本学のいわば宝物である。DLはその無料常設展といえる。また,生産される成果の発信はいわば宣伝活動である。つまり筑波大学は全世界へ向けての強力なアピール手段を手にしたわけで,大いに活用したいものである。

 次に (2)について。これからは年齢や環境を問わず誰でも学びたいものを学ぶという時代を迎える。とくに地域の自己学習・生涯教育に貢献することは夢のあるDLのテーマである。DLは個人のぜいたくな書斎として愛される可能性を秘めている。

 最後に (3)。著作権やプライバシーなど本来はエチケットに属するセンスを身につけておくことは,学生にとって将来の複雑化するであろうコミュニケーション社会において活躍するのに大変重要な教養である。

 上の諸点は,振り返ってみれば,大学という枠を越えて外に向かって開かれているというDL固有の性格に関連している。いま,DLの立ち上げに向けて図書館部の諸氏を始め関係各位の試行錯誤が鋭意進められているところである。散在する電子化情報の有機的結合と対話機能,転送速度,知的財産権の技術的支援など,難しい課題が山積し,生みの苦しみを味わわれているに違いない。DLのあるべき姿を明確にイメージされて,利用者が思わずアクセスしたくなるような設計をしていただけることを期待したい。

(にしはら・せいいち 電子・情報工学系教授)


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Last updated: 1998/04/28