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人間にやさしいシステムを

草薙 裕

 本学の図書館が新しい発想での電子化図書館として出発する。大変おめでたいことであるが,私の見る限り,それはハードウェアの充実であり,それに対応するソフトウェアの対応をどう考え,強化するかが電子化図書館が成功するかどうかの鍵を握っていると思う。ハードウェアが発展すれば,システムとしては向上するだろうが,われわれ利用者が人間の発想でそれを使いこなされなければ意味がない。いわばアナログ思考の人間に対して電子図書館がどういうサービスをするのかを考え,実現へ向かって,学内の研究組織の協力が協力することが望まれる。

 本学の図書館は,開館当初から,文献検索はコンピュータによる検索であった。これにはそれまでカード検索に慣れた者にとってはかなり違和感があった。その最大の理由はいわゆるアナログとデジタルの違いである。狙いが定まっていれば,デジタルは実に効率がいい。ところが,題名にしろ著者名にしろ,うろ覚えの場合,アナログが俄然,力を発揮する。適当に狙いを定め,あとはぱらぱらとカードを繰ればいい。この「ぱらぱら」をなんとかコンピュータ検索に取り入れられないものかといつも思う。

 研究室のパソコンにインターネットが接続されるようになり,図書館の文献検索が研究室に居ながらにしてできるようになった。しかし,文字コードの問題は面倒だった。複数のコンピュータを介する操作では,それぞれのコンピュータが採用している文字コードが異なれば文字体系が混乱し,いわゆる文字化けが起こる可能性がある。当時Tulips の情報を自分のプリンターに出力するプログラムを作ったのを覚えている。この点,最近のインターネットのソフトは文字コードの識別を「自動」で行っているが,必ずしも安心はできない。本学の図書館の新しいシステムでも文字化けが学生の間で混乱を引き起こしていると聞いた。これはシステムの欠陥ではなく,どう設定するかの問題だが,いわば素人に簡単に対処できるかどうかが問題である。

 欲をいえば検索の方法にも改善の余地がある。著者名のうろ覚えでの検索は無理だし,特定の文献ではなく,目指す分野の文献を探そうというとき,分野のキーワードと文献のキーワードが一致するとは限らない。図書館へ出向いて書架を見ればいいようなものだが,学問が進み新しい学問の分野が現れたり,学際の研究が盛んになると目指す文献がどこの書架にあるのか,必ずしもだれもが的確に把握できるとは限らない。

 文字化けはシステム上おこることで,利用者がいつでも対応できるように工夫すればすむ。検索の問題は,キーワード間の意味的リンクなど,「コンピュータによる自然言語理解」の研究を推進して,ぜひ利用者のわがままに対処できる電子図書館の実現を望むものである。

(くさなぎ・ゆたか 文芸・言語学系教授)


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Last updated: 1998/04/28