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電子図書館システムの機能

平岡 博

機能の特徴

 この電子図書館システムの最も重要な機能は,貴重書,学位論文,研究報告・紀要等の原文情報をOPAC(附属図書館蔵書検索システム)とリンクして検索できることである。利用者は,図書館が所蔵している資料をOPACで包括的に検索でき,さらに,原文が電子化されているものについては,OPACの検索結果から直接原文を表示させることができる。もちろん,筑波大学電子図書館のWWWページから全文情報のみを対象にして求める文献にアクセスする方法も提供している。
 また,ユーザインタフェースとしてWWW を採用しているので,ネットワークに接続された標準的なパソコン環境で,世界中どこからでも24時間アクセスすることができる。
 このため,今回の電子図書館システムの導入に伴ってWWW 版のOPACがバージョンアップされ,機能が大幅に強化される。従来の検索機能に原文情報へのリンク機能が追加されることはもちろんであるが,検索機能そのものも増強される。また,これまでtelnet版でしかできなかった貸出予約なども可能になる。
 通常,WWW のサーバとの接続は1回ごとに通信をやり直す静的な接続方法が採られている。この電子図書館システムでは,検索履歴機能やブックマーク機能などを実現するために,一度接続したら終了するまで検索の状態を覚えておくような仕掛けになっている。ただし,終了手続きを踏まずに終了する場合も考えられるため,一定時間何の通信も無い場合には自動的に終了するようになっている。

検索機能

 最初に表示される画面はいたってシンプルである。利用者は検索条件として思いつく言葉を入力するだけでよい。
 検索の範囲として,書誌情報に加え,紀要の目次,原文の抄録や全文を指定することができるようになる。従来のOPACと同様に書誌情報から検索できるだけでなく,全文が登録されているものについては,全文に含まれている言葉からも同時に検索することができる。
 もし,タイトルや著者名,出版社など細かく指定して検索したい場合には,フィールドごとに検索キーの入力欄を設けた検索画面も用意されている。また,キーボード操作に慣れている上級者は入力フィールドの移動などのマウス操作に煩わされること無く,複雑な条件の検索式を一行に入力して検索することも可能である。
 検索機能のもう一つの特徴は,検索履歴が利用できることである。検索を行うごとに検索履歴が保存され,直前の数件の検索条件とヒット件数が検索画面に表示される。条件をさらに絞り込んで検索を続ける場合に,この検索履歴を利用することができる。また,複数の検索履歴をかけ合わせて新しい検索結果を得ることもできる。表示する検索履歴の件数は利用者が変更することができる。
 検索はこれまでと同様に,文字列の部分一致検索で実行されるため,特に日本語の場合などは単語の切れ目を意識せずにキーワードを入力することができる。しかし,欠点として,外国語の場合にノイズが多くなるという問題があった。今回は,単語検索の機能が付加される。今までのような,たまたま,ある単語の最後の部分と次に続く単語の最初の部分をつないだ文字列が検索語に一致すると関係の無い資料がヒットするという問題は解消されることになる。

検索結果の表示

 検索結果は図書,雑誌,論文ごとにそれぞれ一覧表示される。論文は今回追加されたカテゴリーで,紀要に含まれるそれぞれの記事単位で検索条件に合致するものがあれば表示される。一覧表示は,表示する件数と表示の順序を利用者が変更することができる。
 また,一覧表示では簡略表示と全表示を選択することができる。簡略表示は簡略書誌のみの表示であるが,全表示では書誌の表示形式や所蔵情報の表示を選択することができる。データをダウンロードして加工し,自分用のリストを作成する場合などに全表示が便利である。一覧表示には原文情報及び目次へのリンクを示すアイコンがついているので,直接原文や目次へ飛ぶことができる。
 一覧表示で,1件を選ぶと目録情報表示画面になり,書誌情報と所蔵情報が詳細表示される。書誌の詳細情報のうち著者情報や件名,雑誌の変遷誌名などにはリンクが張られ,これを選択することにより,検索画面に戻ること無く同一の著者や件名をもつ資料を検索したり,変遷前誌・後誌などへ飛んだりすることができる。また,所蔵情報には貸出情報が表示され,この画面で貸出予約を行うことができる。
 論文の場合には一覧表示で選んだ論文の書誌情報が論文詳細情報画面に表示される。抄録がある場合にはこの画面に表示される。掲載誌にリンクが張られているのでその雑誌の目録情報へ飛ぶことができる。

ブックマーク機能

 便利な機能として,ブックマーク機能がある。ブックマークはWWW のブラウザなどで既におなじみであるが,それと同様にヒットした資料のうち必要なものを記憶させておく機能である。検索結果の一覧表示画面でこれはと思う資料に印をつけてブックマークに追加することができる。ブックマーク画面では,ブックマークに登録された資料の一覧を見ることができる。表示も簡略表示と詳細表示が可能である。もちろん,原文や目次へ飛ぶこともできる。

目次表示

 それぞれの検索結果表示画面についている目次へのアイコンを選択すると目次表示画面があらわれる。雑誌の各号に掲載されている記事の一覧をここで見ることができる。各記事の論文名,著者,掲載ページが表示されており,ここから記事を特定して,論文詳細情報や原文情報を表示することができる。本学の紀要等については以前から目次データを作成しており,今後も最新号が到着するたびにデータを入力する予定である。

原文情報表示

 原文情報へのアイコンを選択した場合には,記事の原文を見ることができる。原文は画像データやフルテキストなどで提供される。画像データの場合には現在表示されているページの画像の上に前後数ページのサムネイル画像(縮小した画像)が表示され,次に表示したいページをそこから指定できる。また,ページ番号を指定してそのページを表示することもできる。雑誌の場合には別の巻号の特定のページへ飛ぶこともできる。

おわりに

 現在,筑波大学電子図書館のWWW ページでは試行として全文を含む蔵書検索機能が提供されている。そこでは,ここに紹介した全ての機能が使えるわけではないが,間もなく正式に公開されるバージョンでは筑波大学電子図書館の中核として,これらの機能が提供される予定である。

(ひらおか・ひろし  情報システム課和書データベース係長)


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Last updated: 1998/04/28