〔加来爾 (Carlyle,Thomas 写本)〕

(宮へ950-197),(376-Mo31)

加来爾の図
加来爾(かあらいる)は写字机(つくえ)の上にある蝋燭を

小犬に倒(たほ)され多年勉強して測量

せし稿紙を一朝灰燼となしたり

是に由て大にその体気(からだのき)を傷り解悟(げしさとり)

力も衰減せりと云ふ又其著はせる一冊の

写本を客堂(ざしき)の地板に置しを下婢誤て

廃紙と思ひ火中に投しける加来爾(かあらいる)

痛惜すれども為へきやうなく再び

筆を把り記臆中より捜り出し

草稿を属したり

此書を編著せしは得意の

事なりしが再次の属草(したがきをせる)

其労苦惨痛大かたならず然れとも

遂に堅定の志に由て成就したりけり



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