日本(にほん)古紀見(こきにみ)えたり然(しか)れども葉上僧正栄西宋(はかみそうしやうゑいさいそう)より
其種(そのたね)を持来(もちきた)り建仁年間筑前(けんにんねんかんつく)の背振山(せふりやま)に
植(うゑ)しを始(はじ)めとなし夫(それ)より山城(やましろ)の宇治(うぢ)伊勢(いせ)の川上(かはかみ)
駿河(するが)の阿倍茶(あべちや)など追々(おひおひ)名高(なだか)く方今(はうこん)にては
国中大概之(こくちうたいがいこれ)を作(つく)り外国(ぐわいこく)にても羨(うらや)み慕(した)ふ
所(ところ)にして実(まこと)に我朝(わがてう)の名産(めいさん)なるものなり
茶(ちや)の実(み)を
蒔(まき)たる
ところ
輪(わ)に
蒔(まき)たる
ところ
蒔(まき)たる冬(ふゆ)
霜除(しもよけ)を
したる
ところ
茶(ちや)の木(き)の
芽生(めばへ)に
肥(こや)しする
ところ
肥(こや)しは干鰯(ほしか)
油(あぶら)の粕(かす)などを
善(よ)しとなす