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ご挨拶




附属図書館長ご挨拶



 附属図書館では、これまで学内組織の協力を得つつ、本学が所蔵する貴重書、和装本、古地図などを広く公開する展示事業を行ってきております。昨年度は、「図書館を飛び出した書物たち」と題して、前身校から継承してきた貴重書等の中から、教科書や雑誌、テレビなどで日頃目にするような各種資料展示する企画展を催し、好評を博しました。
 今回の特別展では、人間系の礒田正美教授、医学医療系の讃岐勝研究員のご指導のもとに、附属図書館と人間系との共催により、「数学の叡智‐その探求と発展‐」と題して、数学に関する各種資料を展示し、解説致しました。
 これまで附属図書館が行ってきた展示事業の多くは人文社会学系領域の内容のものでしたが、今回、数学という理数系領域の展示が行われますことは、附属図書館の持つ貴重書の多様性を示すことができると同時に、新たな領域の閲覧者の参集も予想され、その成果が期待されるところです。
 展示しております資料は、ユークリッドの原論を始めとする著名な数学者の貴重書に加え、和算に関わるものもあります。古代ギリシャを出発点とする数学が、デカルトの提唱した普遍数学としてヨーロッパで広まった流れを資料を見ることによりご理解いただくと同時に、日本での数学の歴史についての資料が皆様の興味を引き起こすことを期待しております。
 礒田教授がセッションを担当されるつくばグローバルサイエンスウィーク2015の開始日に合わせて、会期は例年より早めに開始しており、最後の週には特別講演会も予定されております。本展示内容の理解をより深めるため、関連企画にも合わせて参加されることをお勧めします。
 附属図書館の展示事業は、本学に蓄積された豊かな「知」を積極的に内外に向けて発信する、という附属図書館の取り組みの一つです。是非とも多くの方々にご高覧いただければ幸いです。

平成27年9月
附属図書館長 中山 伸一



人間系長ご挨拶



 筑波大学とその前身校の歴史は、日本の数学教育の発展とともにありました。学制発布の翌年、明治6(1873) 年に師範学校は最初の官製教科書『小学算術書』を発行します。日本数学教育学会の前身は、大正7(1918) 年に東京高等師範学校講堂で開催された研究会の建議により発足します。その事務局は同学会が平成26(2014) 年に公益法人化されるまで旧茗溪会館にありました。日本数学会と連携開催される数学教育学会も東京教育大学附属学校関係者の貢献により昭和34(1959)年に創設されています。筑波大学数学教育研究室が1980 年代に推進した日米セミナーは、21 世紀初頭の授業研究動向の礎を築きました。そして筑波大学教育開発国際協力研究センターは2006年に国際算数数学授業研究プロジェクトをAPEC より受託します。一つの学術領域がかように内外をリードしてきた事実は、本学全体の学術研究の高さを示すものです。
 本特別展は、本学がその創基以来備える世界的な数学書と、人間系の礒田正美教授、讃岐勝研究員( 当時) が数学史活用教育研究で収集した数学貴重書群とからなります。同教授らが日本書籍出版協会理事長賞(2010) を受賞した『曲線の事典』(2009) は、その数学書群を前提に編纂されています。その序文には、「今日失われた数学上の直観を認め、科学・技術・芸術、そして数学教育のイノベーションを促す」という出版目的が記されています。 昨年、文部科学省も「数学イノベーション戦略」を示しました。さらに中央教育審議会教育課程部会教育課程企画特別部会は、高等学校新課程に「数理探究」という横断型教科を盛り込む原案を提示しました。その時節のもと、本特別展は、失われた数学を再発見し、数学によるイノベーションを実現する際に役立つ数学の叡智を改めて共有することを意図して、数理物質系数学域の協力のもと本学附属図書館と人間系が共催し企画されました。
 本特別展を通して、意外な数学像をどうぞお愉しみください。

平成27年9月
人間系長 茂呂 雄二