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データベースの選択

岩澤まり子


 データベースを使用した情報検索では,データベースの選択は重要である.この選択にあたっては,主題範囲,情報源,網羅性,収録期間,対象地域,使用言語などを考慮することが必要であり,これらの条件を考慮してデータベースを探すことができる資料が必要となる.
 Gale Research Inc.が年2回発行する「Gale Directory of Databases」(以下,「Gale」という)が,世界のデータベースを網羅するデータベース選択のためのディレクトリとしてよく利用されている.「Gale」は,1979年にRuth N. Cuadraにより発刊された「Directory of Online Databases」を起源とする.以来季刊誌として発行され,クアドラのディレクトリとして愛用されてきたが,出版社の吸収合併を経て,1993年1月に現在の「Gale」となった.「Gale」の表紙にも記載されているが,各社が発行していたColmputer‐Readable Databases, Directory of Online DatabasesおよびDirectory of Portable Databasesの3種類のディレクトリを引き継ぎ,現在の「Gale」として発行されている.
 「Gale」は,Volume 1(Online Databases)およびVolume 2(CD-ROM, Diskette, Magnetic Tape, Handheld, and Batch Access Database Products)の2巻に分かれている.2巻の構成は基本的に同じであり,データベース名のアルファベット順に,データベース名,データベース作成機関の名称と連絡先,データベースのタイプ,情報源,主題範囲,使用言語,収録期間,更新頻度,検索システム名等が記載されている.巻末索引としては,データベース作成機関名(作成しているデータベース名を併記),検索システム名(提供するデータベース名を併記),地域名,および主題の各索引が作られている.またこれらの索引を統合したマスター索引も作成されていて,目的に合致したデータベースを探し易く編集されている.
 1993年1月からは巻頭に,University of IllinoisのMartha E. Williamsによる論文 “The State of Databases Today”が掲載されている.前年のデータを追加した最新データを使用して分析されているため,データベースの動向を把握するために有用な解説資料となっている.
 日本では,通産省が「データベース台帳総覧」(007.3:Ts-91)を毎年発行している.2分冊のうちの台帳編(本文)では,データベースは分野ごとに五十音順に配列され,データベース名,プロデューサ名,国名,特徴・特色,分野・小分類,キーワード,データのタイプ,同内容の冊子体名,記述言語,収録期間,更新頻度,サービスシステム名,データ提供形態等が記載されている.もう一方の索引編には,分野別のデータベース名(台帳編と同じ配列),データベース名,企業名の索引が作られているが,「Gale」にあるような主題索引は作られていない.主題からデータベースを選択するためには,データベースを分野別に分けるために使用されている小分類を使用することになる.この小分類は,データベースを約60に分けているに過ぎないため,細かく主題分野を指定することはできない.また索引編の巻末には,分野別収録データベース数,企業種別企業数,データのタイプ別収録データベース数が記載されているが,データ分析はおこなわれていない.分析データが必要な場合には,データベース振興センターが毎年発行しているデータベース白書(007.3:D-65)を利用することになる.


Selection of Databases,by Mariko lWASAWA
本学助教授