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ご挨拶
附属図書館特別展「明治時代に礼法はいかにして伝えられたか―出版メディアを中心に―」に寄せて

 附属図書館では、これまで学内組織の協力を得つつ、本学が所蔵する貴重書、和装本、古地図などを広く公開する展示事業をほぼ毎年行ってきております。前回の平成23年度には、「日本人の読んだ漢籍」と題して、前身校から継承してきた貴重書の中から、「唐本」「和刻本」を含む漢籍を中心に展示し、好評を博しました。
 今回の特別展は、図書館情報メディア系の綿抜豊昭先生、呑海沙織先生のご指導のもとに、附属図書館と図書館情報メディア系との共催により、「明治時代に礼法はいかにして伝えられたか―出版メディアを中心に―」と題して、礼法教育に用いられた各種資料を展示し、解説致しました。
 明治時代の女子教育において、礼法教育は重要な位置を占めており、それは学校教育とともに、家庭教育においてもなされておりました。その教材は、学校教育では教科書が中心となりますが、学校外では、教科書的なものの他に、錦絵、双六といった「遊び感覚」なものも用いられておりました。
 展示しております資料は、礼法教育に用いられた教科書に加えて、「遊び感覚」なものも多くあります。特に、美しい錦絵に内包されている礼法についてご注目下さい。そしてこれらを総覧することにより、明治時代の生活の中に、礼法がどのように伝えられ、定着していったかがご理解いただけるものと思います。また、図書館におけるマナーについて、礼法との関わりが深いことも知っていただけると幸いです。
 附属図書館特別展は、本学に蓄積された豊かな「知」を積極的に内外に向けて発信する、という附属図書館の取り組みの一つです。是非とも多くの方々にご高覧いただければ幸いです。
 なお、本学は来年開学40周年を迎えます。本特別展は筑波大学開学40+101周年記念事業のプレ企画として開催致しております。

          平成24年10月
附属図書館長 中山 伸一


附属図書館特別展「明治時代に礼法はいかにして伝えられたか―出版メディアを中心に―」開催に寄せて

 本学は来年開学40周年を迎えます。また今年は、図書館情報メディア系の前身である図書館情報大学と筑波大学の統合10周年にもあたります。こうした節目の年にあたり、開学40+101周年記念事業(プレ企画)の一環であり、また図書館情報大学・筑波大学統合10周年をも記念する企画として、附属図書館と図書館情報メディア系の共催で、特別展を催すことになりました。本学が所蔵する貴重な資料を中心に「礼法」をテーマにした、きわめて珍しい展示です。
 この特別展では、図書館情報メディア系の綿抜豊昭教授・呑海沙織准教授の指導のもとに、江戸時代から明治時代にかけて成された礼法関係資料を展示いたします。綿抜教授は、『絵で見る明治大正礼儀作法事典』(共著)や『礼法を伝えた男たち』などの著書があり、呑海准教授は、近年、図書館のマナーの歴史についての研究論文を発表されており、この分野で活躍されている先生方です。
 今回の展示品は、かつて図書館情報大学時代に収集した、江戸時代に書写された小笠原流礼法書、また師範学校・教育大学の歴史を持つ筑波大学ならではの礼法教科書などのほか、附属図書館の平成21年度人文社会系コレクションの一つとして綿抜教授が選定した「礼法関係錦絵」が中心となります。この「礼法関係錦絵」は、明治時代の錦絵として貴重なものであり、今回が初公開となります。 二つの旧組織「図書館情報大学」「筑波大学」所蔵資料の「統合」展示と、「統合」後にあらたに収集された資料展示であり、まさに「統合10周年」にふさわしいものといえましょう。
 今回の特別展は、礼法という「情報」が、どのような「メディア」(書籍、錦絵等)を通して人々に伝えられたか、また図書館のマナーというものが礼法書にどのように記されていたかを、視覚的に理解できるように展示されています。図書館情報メディア研究が扱う世界の一端をみることができるかと思います。10月8日(月・祝)には、綿抜教授による特別講演会もございますので、是非、こちらの方にも足をお運びください。この特別展を通して、こうした領域に関心を持っていただくとともに、図書館情報メディア系についても認識を新たにしていただければ幸いです。

          平成24年10月
図書館情報メディア系長  松本 紳