つくばね vol.31 No.3：《シリーズ　図書館とボランティア　３》全国図書館大会茨城大会「ボランティアの集い」報告

《シリーズ　図書館とボランティア　３》
　全国図書館大会茨城大会「ボランティアの集い」報告

大久保　明美

　第91回全国図書館大会茨城大会が，平成17年10月26日（水）～28日（金）に開催された。1日目は開会式・記念講演，2日目は各分科会，3日目は特別講演・閉会行事が開催され，全国から1,859名の参加があった。
　「ボランティアの集い」は大会2日目，「ハート　つながる　ひろがる　図書館ボランティア」をテーマに掲げ，茨城県総合福祉会館で開催された。当日は，午前の部全体会，昼食時のランチミーティング，午後の部分散会といった内容で行われ，茨城県内のボランティアを中心に213名の参加があり，実りある発表と質疑応答が繰り広げられた。筑波大学附属図書館ボランティアは19名が参加した。

　全体会では，とんがり帽子をかぶった魔女のいでたちの有田道子氏による講演「本が大好きになる魔法をかけに今日もほうきで飛んでいます。」があった。「魔女おばさん」誕生秘話や，自宅を開放しての文庫活動，たくさんのボランティアに支えられてきたこと，そして子供たちとのつながりによって自分が成長してきたことなど，ユーモアいっぱいの楽しいお話は会場に集まった人々を魅了した。　昼食時を利用してのランチミーティングでは，午後の分散会と違った内容で4つのテーブルが設けられ，ざっくばらんな意見が交換された。

　午後の分散会は，第1分散会「障害者サービスボランティア」，第2分散会「読み聞かせボランティア」，第3分散会「図書館とボランティア」の3つに分かれ開催された。筑波大学附属図書館ボランティアは，第1分散会と第3分散会で事例発表を行った。ここではその内容を中心に報告する。

第1分散会「障害者サービスボランティア」
　本学附属図書館ボランティア柳沢由紀子さんによる「大学図書館における対面朗読」についての事例発表があった。筑波大学附属図書館における対面朗読の説明，及び支援の内容等について公共図書館の対面朗読との違いを踏まえながら次のような説明があった。大学図書館の対面朗読は資料を探し出す手伝いも必要であり，朗読の技術のみでは対応が十分にできないため，筑波大学附属図書館では総合案内のボランティアと協力して支援を行っていること，また，文献の情報を正確に読み伝えることや読めない資料（グラフ・図・表など）の音訳技術も要求されることなど，利用者のニーズによっていろいろな情報を提供することの大切さを述べられた。
　このほかに，茨城県立図書館ボランティア丹協子さん，立川みつよさんが録音図書の作成について，土浦市おもちゃライブラリー岩瀬ひろみさん，太田明美さんが布の絵本の作成について，それぞれ事例発表があった。この分散会には39名の参加があり，活発な意見交換がなされた。最後は，司会の徳田克己氏（筑波大学教授）により，ボランティアとして色々なことに生きがいを持って望み，さらにボランティアの輪を広げてほしいとのお話があり，なごやかに分散会は終了した。
第2分散会「読み聞かせボランティア」
　鶴田育枝氏（ひたち図書館と歩む会）の司会で，取手市おはなしこすずめの会田島多恵子さんによる谷中子ども文庫のお話会について，龍ヶ崎市りゅうがさき・おはなしねっと堀米かおりさんによる幼稚園・小学校でのお話会の取り組みについて，水戸市おはなし会たんぽぽ島津美津子さんによる読み聞かせの果たす役割についてそれぞれ事例発表があった。県内公共図書館ボランティアを中心に99名の参加があった。
第3分散会「図書館とボランティア」
　本学附属図書館ボランティア横井清和さんによる「大学図書館における生涯学習型ボランティア」についての事例発表があった。本学図書館ボランティアの活動内容や研修内容等についてPowerPointを使って，わかりやすく説明された。（ボランティアの活動内容については「つくばね」Vol.31　No.1を参照のこと。）そして，生涯学習型の図書館ボランティアに必要と思われる事項として，①楽しいと感じられる活動，②役に立っていると感じられる活動，③ボランティア同士の交流，④職員との交流，⑤柔軟な運営（担当職員の資質）が大切であるといった感想を述べられた。
　このほかに，よこはまライブラリーフレンド依田和子さんが図書館友の会の活動について，常陸太田市立図書館ボランティア石月ひろ子さんが公共図書館を通して地域に根差しているボランティア活動について事例発表があり，吉田右子氏（筑波大学助教授）司会のもと，多様なボランティア活動について活発な話し合いが行われた。県外からの参加者も多く，75名の参加があった。

　「公共図書館においては欠かすことのできないボランティアが，大学図書館の中でも生き生きと活動されていることにとても驚いた」と感想を述べた参加者がいたが，この大会をきっかけに筑波大学附属図書館ボランティアの存在がPRできたことは大きな収穫であった。

(おおくぼ・あけみ　情報管理課専門職員)

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