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私の図書館　―中国農業大学西校区図書館紹介－

李晨英

私は中国政府の派遣で1998年10月19日に筑波大学に参りました。電子・情報工学系の西原清一教授のご指導で，附属図書館で1年間の研修をしています。
　この度，『つくばね』編集委員会のご依頼で，私の図書館を紹介するチャンスを与えて頂いて，とても光栄です。
　中国農業大学という名前をご存知の方はたぶん非常に少ないと思います。私の図書館を紹介する前に，まず，私の所属大学―中国農業大学を紹介します。

中国農業大学(http://www.cau.edu.cn/)

　当大学は1995年に旧北京農業大学と北京農業工程大学が合併して出来た，中国で最大規模の農業大学で，中国の農業と農村の発展に力を入れる農業に関する学科が中心ですが，他に文学，理学，経済学などの学科を含む総合農業大学です。
　今，当大学は生物と生命科学，工学と技術科学，資源と環境科学，経済と社会発展，情報とコンピュータ技術の五つの学群に分けられています。職員全部で3,200人，そのうち教官は1,200人近くです。教官は，中国科学院院士と中国工程科学院院士10人（これは中国の学術界で最高の名誉です) がおり，そのほか教授188人，助教授533人です。在学学生は全部で約8,000人，修士課程学生733 人，博士課程学生360人です。
　大学は合併した為に、キャンパスも二つあります。元の北京農業大学キャンパスは現在西校区とと呼び，北京市北西にある有名な西太后のサマーパレスと圓明園に近いところにあります。元の北京農業工程大学は現在東校区と呼び，西校区と10 kmぐらい離れています。大学総面積は129ha,施設面積は36万平米です。本部は西校区に位置しています。附属図書館も西校区図書館と東校区図書館があります。
当大学はアメリカ，ドイツ，日本など20ヶ国以上の国の50大学と友好関係を締結しています。校内に中国－ドイツ総合農業発展センター，中日農業機械補修と養成センター，中国－イスライル国際農業養成センター，中日神内農牧経営研究センターなど，四つの研究センターを設置しています。当大学と東京農業大学は，毎年15名の学生を交換して4週間の研修を行っています。
　また，当大学は1990年に日本人の支援で，ラグビー・チームを設立して，中国国内大会で連続優勝し，国際大会でも良い成績をおさめました。今，中国の“国家青年一隊”になって，国を代表して国際試合に参加しています。
　当大学は“211プロジェクト”をきっかけにして，合併の長所を生かし，“高水準，総合性，国際化，多機能”を目標にして，世界の有名大学の一員を目指しています。

中国農業大学西校区図書館(http://www.lib.cau.edu.cn/）

　私の勤めている西校区図書館は，元北京農業大学附属図書館です。人・物・金とデータベース・利用者サービス・国際交流等について簡単に紹介します。

1.組織構成

　当館の職員は合計62名で，学歴はほとんど大学卒業で，4名が修士課程卒業です。また助教授と同レベルの研究職の副研究館員は7名で，組織構成は下記の通りです。

図書館館長と党総支部書記
　副館長と副党総支部書記: 采訪部(文献収集と図書・雑誌受入); 編目部（データベースとカタログ作成）; 流通閲覧部(利用者サービス全般); 声像部(視聴覚メディア全般); 参考諮問部(レファレンス); 自動化部(システム管理とソフト開発); 技術部(図書館関係の業務開発); 文献課教育研究室(文献検索授業担当); 外国教材中心(教育部農学外国教科書センター); 農林中心(教育部文献保障システム農林センター); 事務室(財務管理と一般的事務)

2.施設と設備

　当館の建物は1990年10月に竣工したもので，白いL字型の美しい建物です。施設面積は12,000╂，閲覧席は1,200席，収容可能蔵書数は150万冊，現在蔵書数は80万冊です。館内は視聴覚施設，パソコン，書架，机，椅子など設備から，コンピュータ管理システムと全面開架方式で，最近の中国で最も進んでいることで注目されています。1998 年に，国の“211 プロジェクト”の経費でATM学内基幹LANを整備し，サーバと利用者用端末なども増設して，附属図書館WWWページを本格的に公開しました。

3.経費

　当館の年間大学予算経費は105万元人民幣です。これ以外にプロジェクト費用もあります。例えば，中国国家重点大学“211プロジェクト”建設費で，ネットワークもこの費用により整備されました。また，二つのセンターもプロジェクト費で設けられました。中国の農業大学の中でも，特に恵まれているほうですが，雑誌と図書価格の高騰で，やはり雑誌の定期購読タイトル数と図書の受入冊数は，減る一方です。

4.データベースについて

　当館では1986年から洋書，1987年に中国語図書， 1993に年日本語図書の電算処理が始まりました。これは，中国で書誌データベースの構築を始めたのは最も早いほうです。1990年の新館開館と同時に，書誌データベースの蓄積により，コンピュータシステムで管理できるようになりました。現在までに、当館の職員の努力で雑誌所蔵データベースの構築はもう終わり，蔵書ファイルの中に収められています。1975年から受入れた中国語図書と洋図書の書誌データの遡及入力も終りました。しかし，日本語図書の遡及入力はまだ終っていません。中国教育部の“大学文献保障システム農林センター”を設置していますので，農林学科に関するいろいろなデータベースの構築も始まりましたが，発信できるものはまだ少しだけです。

5.利用者サービス

利用者サービスとしては，当館は普通の閲覧・貸出以外に，相互利用・文献代行検索・研究課題の考察など様々なサービスを行っております。利用者はネットワークを通じて，蔵書検索から，予約・更新，CD－ROM検索，農業教育ビデオの視聴まで出来ます。当館への入館は社会に開放して，図書館資源が最大限利用されるように努力しています。サービスの内容と水準を改善するに連れて入館者が増えつつあり，開館日の入館者数は１日平均3,000人以上になっています。

6.国際交流

　当館は長い間，国際交流を重視してきました。当大学に訪れる外国の来訪者のほとんどが図書館を見学します。私達はできるだけ良い準備と案内をする以外に，様々なチャンスを活用して交流を行ってきました。当館はアメリカ，ドイツ，日本などの数多くの国の関連組織と資料交換を行い､特に日本との交流は頻繁です。当館は日本の20以上の大学及び農林水産省図書館と資料交換を行っています。また農山漁村文化協会を始め，日本農業書協会から図書・雑誌の寄贈を頂いており，農業文献の利用から，古農書，農業に関するさまざまの面で，ご指導を頂きました。長い間の農山漁村文化協会坂本尚専務理事のご協力とご指導に対して，当大学学長から中国農業大学附属図書館客員研究館の名誉職を差し上げました。

終わりに

　中国は農業人口が主流である人口の多い国ですから，当大学は国の重点大学大学として，教育以外に，農業関連分野の科学研究・技術開発と普及の責任も背負っています。当館はこれらの使命を果たすために，より良いサービスをしなければなりません。現在の情報化社会に直面して，図書館職員に対する要求も厳しくなりつつあり，図書館職員として国際交流も行わなければならない段階に入ったと思います。今度，この場をお借りして，私は当館の職員と利用者を代表して，長い間，ご協力とご援助をくださいました日本全国のお世話になった方々に心よりの感謝を表すと同時に，より多くの日本人が中国農業について関心を持ち，私達と更に広い交流が行われるよう切に希望しています。

(Li・Chenying 中国農業大学附属図書館)