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ターミノロジー

メタデータ −Dublin Core と Resource Description Framework

杉本重雄

 メタデータは,簡単には「データに関して記述した(構造化された)データ」と定義される.ネットワーク上には様々な資源がある.利用者の立場からは,できるだけ効率よくネットワーク上で必要な資源を見つけ,アクセスし,利用したい.そのためには資源の内容や特性を表すメタデータが重要である.メタデータにはいるいるなものが考えられる.たとえば,資料を探すために利用する目録,資料の利用資格やアクセス制限を表した記述は重要なメタデータである.
 様々な資源がインターネット上に提供され,またその数も増え続けている.インターネット上の資源の目録があると都合がよいと思われる.ところが,インターネット上の資源の目録を作ろうとしても,資源の数が膨大でかつ多様であるため,従来の詳細な目録規則をそのまま適用することは現実的とは言えない.Dublin Core(正確にはDublin Core Metadata ElementSet,以下DC)はインターネット上で資源を見つけ出すために提案されたメタデータ,いわばインターネット上の資源の目録規則である.DCはタイトルや作者など15の基本要素を定義している.DCの特徴は,インターネット上の資源の性質を表す上で共通で基本的なもののみを表すコアメタデータである点である.現在までに基本要素の定義を終わり,標準化作業を進めている.また,各要素のよりきめ細かな記述を行うための記述方式の検討などがさらに進められている.
 DCでは,意味的な相互利用性を中心に要素の意味を決めることに重きをおいて開発が進められてきた.そのため,DCではHTMLでの記述形式の推奨形式を決めたほかは独自の構文規則といったものは持っていない.これは構文規則によって要素の意味的な定義が引きずられる可能性があること,またWWWコンソーシアムが進めているResource Description Framework(RDF)によって高い流通性を持つ記述形式が得られる可能性があるためである.
 RDFは,インターネット上で用いられる多様なメタデータを定義し,それに基づいてメタデータを記述する共通基盤を与えている.RDFでは,XML(eXtensible Markup Language)に基づいてメタデータを記述することにしている.下にRDFによる記述例を示す.
〈rdf:RDF
  xmlns:rdf="http://www.w3.0rg/RDF/RDF/"
  xmlns:dc="http://purl.oclc.org/DC/">
   〈rdf:Description about="http://foo/tyamada">
     〈dc:Creator xml:lang="ja">山田,太郎
〈/dc:Creator>
   く/rdf:Description>
く/rdf:RDF>
この例ではというタグでDCのCreator要素を記述している."dc"ではCreator要素がDCで決められたメタデータ要素であることを示しているが,この記述だけではCreatorという要素が何を意味するのか分からない.RDFでは,XMLのネームスペース機能を用いて要素定義が与えられている場所を示している.この例ではxmlns:dc=“http://purl.oclc.org/DC/”である.このようにRDFはメタデータを記述する要素の名前と意味を定義するための基本的枠組を与えており,複数のメタデータ規則に基づく記述も可能である.こうした記述をWWW上の資源に加えることでより効率的な資源の利用が可能になっていくと期待されている.
(DCに関する詳細はhttp://www.purl.org/dc/http://www.DL.slis.tsukuba.ac.jp/DC/,RDFについてはhttp://www.w3c.org/Metadata/を参照されたい,
また,情報科学技術協会「情報の科学と技術」Vol.49,NO.1,1999.1にメタデータ特集がある.)


本学・教授
Metadata - Dublin Core and Resource Description Framework. by Shigeo SUGIMOTO