Readingバトン(菊池 彰 生命環境系准教授)

2016年1月29日
Readingバトン -教員から筑波大生へのmessage-
徳永先生に続く第25走者として、菊池 彰 生命環境系准教授から寄稿いただきました。

 

 

Pick Up
『スキマの植物図鑑』塚谷裕一著 ; 東京 : 中央公論新社, 2014.3【081-C64-2259】

Book Review
 ちょっとこれまでとは毛色の異なる書籍を紹介させてください。活字と言えば学術論文と報告書ばかりとなっている私にとって、「ブックレビューが出来るのか?」と思いましたが、読書習慣の無い方々に、書籍を手にする機会となればと思いこの本を紹介します。
 日本は緑に覆われた国、何処に居ても屋外なら植物が目に入るのではないでしょうか。しかし、「身のまわりの植物を気に掛けた事はありますか?」植物といえば、庭にある園芸植物や普段食べている野菜類しか思いつかないかも知れませんね。園芸品種や野菜は人の手により改変されたもの達ですが、身のまわりにあるいわゆる「雑草」と呼ばれる草花は自然体。しかし、かれらも随分と人間の影響を受けています。名もない小さな雑草にも名前があり、しかもそれらの中には海外から日本にやってきて定着したものもあります。担当講義の余談で、「身近な生き物に目を向けてください」と雑草などを紹介していますが、この本を見つけた時には「やられたぁ・・・」と思いました。
 この本は「**図鑑」となっていますが、小難しい図鑑ではなく、その植物に関する「へぇ〜っ」って言う説明が付けられていますので、小説好きな方々も気分転換にいかがでしょう。雑草に限らず、ともかく「スキマ」にある植物に目を向けたものなので、皆さんがよく知ったものも含まれているはずです。植物科学の専門家が書いたものなので、学術的な側面もちょっと入っていますので知識を深める入門書としても良いと思います。
 この本を手にとって、身近な雑草を見てください。きっと「雑草」が名前のある「植物」に変わってゆくと思います。身のまわりにある生き物、特に植物に目を向けると、季節の変化が見えてきます。それに気づくと、毎日がちょっとだけ楽しくなると思います。そして、本から知識や情報を得る楽しさがわかると新しい自分を見つけられるかも知れませんね。

■次は、西川博昭先生(附属図書館長)です。