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Readingバトン(外山美樹 人間系准教授)

2015年2月27日
Readingバトン -教員から筑波大生へのmessage-
佐藤先生に続く第15走者として、外山美樹 人間系准教授から寄稿いただきました。

 

 

Pick Up
『ネガティブだからうまくいく』ジュリー・K・ノレム著 ; 末宗みどり訳. ダイヤモンド社, 2002.12【分類146.8-N96】

Book Review
 書店には,「成功するためには常にポジティブでいよう」といった楽観的になるための自己啓発の本が溢れかえっています。物事をポジティブに楽観的に考えることが“善”で,ネガティブに悲観的に考えることが“悪”なのは,いまや世の中の常識となっています。心理学の分野でも,「ポジティブ思考が美徳である」というのがこれまでの支配的な考えでした。
 しかし近年,「物事を悪いほうへ考える」ことで成功している人たちの存在が明らかになっています。悲観主義者のなかで,物事を「悪いほうに考える」ことで成功している適応的な悲観者のことを防衛的悲観主義者と言います。この本の著者である心理学者のノレムが提唱した概念です。本書は,この防衛的悲観主義者のネガティブ思考のポジティブパワーについて書かれています。
防衛的悲観主義者は,これから起こる出来事(例えば,“面接”)を悪いほう悪いほうに想像してしまいます。来る日も来る日も悲観的になって,失敗の可能性を延々と考え続けます。しかし,こうした防衛的悲観主義者のネガティブ思考は,ただのネガティブ思考ではありません。ありとあらゆる失敗の可能性を想像したあと,彼らは,その失敗が起こらないように徹底的に対策を練って実行します。そして,本番を迎える頃にはその心配事に対する不安をコントロールし,立派な成果を収めるのです。また,防衛的悲観主義者が悲観的に考えるのをやめると,逆にパフォーマンスが低下することもわかっています。
 成功するためには,積極的になることが大切です。しかし,防衛的悲観主義者のように,つねに物事を悲観的にとらえる人に“ポジティブに考えようぜ!”と言っても,ポジティブに考えられるはずがありませんし,不安なときに無理にポジティブに考えようとすると,裏目に出ます。ポジティブ思考がいつも万能だという考え方は,明らかに間違っています。無理にポジティブに考える必要はないのです。
 本書では,自分が防衛的悲観主義者であるかどうかを測る心理テストも載っています。ネガティブ思考で悩んでいる人,是非この本を手に取ってみてください。

■次は、唐木清志先生(人間系准教授)です。