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Readingバトン(佐藤 忍 本部教育企画室長)

2015年1月8日
Readingバトン -教員から筑波大生へのmessage-
守屋先生に続く第14走者として、佐藤 忍 本部教育企画室長から寄稿いただきました。

 

 

Pick Up
『植物はなぜ5000年も生きるのか : 寿命から見た動物と植物のちがい』鈴木英治. 講談社, 2002.03【分類408-B94-1365】

Book Review
 100歳までも生きる人間は長寿な生物です。最も長生きな動物はゾウガメで200歳まで生きるそうです。一方、植物に目を向けると、樹齢200年の樹木はざらで、日本の最高齢は屋久島の樹齢3000年の屋久杉、世界最高齢は米国のゴヨウマツで樹齢4800年とのこと。なぜ、動物と植物の寿命は10倍以上も違うのかというのが本書の表題です。そこから見えてくるのは、老化とは何か、死とは何か、個体とは何か、という根源的問題です。近年、医療の世界ではES細胞やiPS細胞の発見で、個体や器官の再生が可能となりました。しかしそれは動物での話で、植物では挿し木による根の再生や、地下を這った根からの芽の発生、さらにはカルスからの個体再生など、いわゆるクローン増殖が普通に見られます。一方、どんなに長生きする生物でも結局は死が訪れます。では長寿な種と短命な種では体のつくりや生存戦略がどの様に違い、生命の歴史の中でどの様に進化してきたのでしょうか。これらの疑問に、本書は平易な言葉で本質的なポイントを解説してくれています。著者の鈴木英治氏は植物生態学が専門ですので、植物、特に樹木に関する記述には重みがあります。ヒトをはじめとする動物の老化に関しては多くの本が出版されていますが、動物と植物を対比させながら生き物の在り方を考える本書は、まさに目からうろこの一冊です。2002年発行のコンパクトな入門書ですが、その内容はいささかも古くなっておらず、生物学を専攻している学生にも、生き物や植物が好きな一般の学生にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

■次は、外山美樹先生(人間系准教授)です。