Readingバトン(永田恭介 学長)

2014年5月12日
Readingバトン -教員から筑波大生へのmessage-
松本先生に続く第11走者として、永田恭介 学長から寄稿いただきました。

 

 

Pick Up
『がん遺伝子に挑む(上/下)』ナタリー・エインジャー [著] ; 野田洋子, 野田亮訳.東京化学同人 , 1994 【分類491.65-A49-1/2】

Book Review
 2010年に、学園祭の図情関連の催しの一つとして「近未来書籍カフェ」というイベントで主催者の要請に応じて学生に読んでもらいたい本の1冊として挙げたのが本書。生命科学とは無縁のジャーナリストである著者が、当時続々とがん遺伝子についての大発見が続いていたMITのワインバーグ研究室とCSHLのウイグラー研究室に、あたかも「寝泊まり」状態で行った取材を元にしたルポ。ジャーナリスト魂あふれる著者のがん遺伝子研究の初期の歴史書とも言える。捏造や改ざんという言葉があふれる研究不正という残念な話題が相次いでいる今日このごろ、研究の偶然性や熾烈な競争、研究者の人間臭さを著して秀逸である本書は、読者にまたひと味違ったニュースの見方を教えてくれるかもしれない。ちなみに、ワインバーグ研究室で真実を明らかにしたのは教授のワインバーグではなく、若い大学院生とポスドクであったことも迫真の内容で紹介されている。

参考情報:Prism No.23 近未来書籍カフェ 雙峰祭グランプリを受賞!(PDF 391KB)

■次は、池田潤先生(人文社会系教授)です。