自浮(おのつからうか)ふものなれども其頭原来重(かしらもとよりおも)き
故に誤(あやまり)て水に落入(おちいり)たる時頻(しきり )に頭を
水上(みつのうへ)へ出(いだ)さんとすれば頭いよいよ重く
なり全身(ぜんしん)沈むに至るかゝる時は精(せい)
神(しん)を鎮(しづ)め仰向(あふのき)になり頸窩(うなじ)を水に
浸(ひた)すように為べし顔(かほ)七八分(ふ)は沈とい
へ共目鼻(はな)口は水上に出べし若周章(あわて)
て索空(くうをつかむ)さまをなす時は反(かへ)りて水(みな)底へ
沈む也獣(けもの)の類(たぐひ)は頭軽き者ゆゑ水面(すいめん)
に頭を出して能泳(よくおよ)ぎ水鳥(みつどり)は身
体軽きのみならず水に潤(うるほ)はざる
羽(はね)あるゆゑに浮嚢(うきぶくろ)を着けたる
と同理なり
空瓢
を附
たるも
よし
西洋の
トクリの
口にして
有
キルクを
多く糸に
繋き
たすきに
するなり
浮嚢(うきくつ)とは
皮の袋(ふくろ)又布(ぬの)に
ゴムを引空気(ひきくうき)
を十分に入れ
膨張(ふくら)
て体(からだ)に
巻附る
なり