Monthly Archives: 1月 2015

教員著作紹介コメント(礒田正美先生)

ブックコメントのアイコン礒田正美先生(教育開発国際協力研究センター)よりご著書の紹介コメントをいただきました。
【本の情報】
『Pensamiento matemático : cómo desarrollarlo en la sala de clases』Masami Isoda, Shigeo Katagiri/traducción de Cristián Reyes, Néstor Jofré y Felipe Muñoz/coordinación de Pablo Dartnell. Ciae, Centro de Investigación Avanzada en Educación, Universidad de Chile, 2014【分類375.41-I85】

【コメント】
本書(Isoda, M., Katagiri, S. (2014). Pensamiento Matematico: Como desarrollarlo en la sala de clases,数学的な考え方:教室での育て方)は、2012年に出版されたMathematical Thinking: How to Develop it in the Classroomの増補スペイン語版 です。2013年8月24日、チリ教育省のもと、チリ大学先進教育研究所CIAEは、「数学的な考え方」育成に係る国際シンポジウムをサンチャゴで開催しました。1500人が参加し、チリ国外に向けてもインターネット中継されました。その実施後アンケートで、誰からも高い評価を得たのが、筆者(礒田)の講演でした。その内容を含む英書を翻訳したのが本書となります。本書の主要部分、それ自体は共著者、片桐重男による50年にわたる研究で構成されています。その内容が、海外でもわかるようにするために、筆者による序章が設けられています。その序章に係る内容が、そこでの講演内容でした。序章には、日本の教科書・授業、問題解決の指導、振り返ることによる教育、価値教育、そして自ら学び自ら考える教育とはいかなる教育であるのかが、「What do you want to do, next?」という問いを中核に記されています。2014年7月には、附属小学校細水保宏副校長と数学的な考え方育成に関わる国際授業研究会をサンチャゴで実施しました。それら成果をふまえて増補されたものが本書です。スペイン語化されたことで、中南米全域で、広く参照可能になります。翻訳は、チリ大学先進教育研究所CIAEと筑波大学教育開発国際協力研究センターとの共同研究として行われました。本書が出版されたことは、日本の算数・数学教育が国際的に高く評価され参照されていることの証左とな言えます。また、筑波大学とチリ大学とは大学間協定を結んでおり、本出版は、その協定に基づく共同研究成果の一つに数えられます。
関連URL:
http://seminarios.conectaideas.com/razonamiento.html

http://math-info.criced.tsukuba.ac.jp/museum/dbook_site/MathematicalThinkingWS-book_Spanish/files/EText.html

http://math-info.criced.tsukuba.ac.jp/museum/dbook_site/MathematicalThinkingWS-book/files/EText.html

http://www.criced.tsukuba.ac.jp/renkei/msa/Merculio6July2014Isoda.jpg


教員著作紹介コメント(林 洋輔先生)

ブックコメントのアイコン林 洋輔先生(体育系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。
【本の情報】
『デカルト哲学と身体教育』林洋輔. 道和書院, 2014.3【分類135.23-H48】

【コメント】
 フランスの哲学者・数学者であるルネ・デカルト(1596-1650)の議論を「体育学」の視点から読み直した一冊。筑波大学に提出した博士論文の公刊。いわゆる「心身二元論」として体育・スポーツの学界で退けられてきたデカルトの議論を再考。これまで体育学では殆ど顧みられてこなかった彼の哲学における「実体の合一」および「心身の合一」といった心身観や『人体の記述』といった今後のデカルト哲学研究において進展の期待される彼の著作に対する検討、さらに情念と人間の身体運動の関係について考察。デカルト哲学の議論がこれまでそう思われていたように体育やスポーツにそぐわないものではなく、むしろ教育や体育、そしてスポーツの場における人間の心身関係や身体を考える上で有益な視点を提供するものであることを明らかにした。
 体育・スポーツの視点からデカルト哲学を読み直すという「荒業」には作業のあいだ常に不安が付きまとうものであった。指導教員をはじめとして多くの方々によるご支援・ご指導・ご協力のもとに著作として上梓することができたのは幸甚というほかなく、関係各位への感謝の思いを日々新たにしている。


教員著作紹介コメント(岡本智周先生)

ブックコメントのアイコン岡本智周先生(人間系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。
【本の情報】
『共生社会に関する調査 : 2014年調査報告』岡本智周, 坂口真康編集. 筑波大学人間系研究戦略委員会, 2014.12【分類361.4-O42】

【コメント】
 筑波大学共生教育社会学研究室では2013年から2014年にかけて、「共生社会に関する調査」に取り組みました。この調査研究は、筑波大学人間系研究戦略委員会の課題を引き受ける形で進行しました。日本の社会意識の現状を把握し、「共生」への志向性がポジティブ-ネガティブに分岐する点がいずこにあるのかを探索しています。
 この調査はインターネットを利用したウェブ調査として行っていますが、全国の成人を対象とし、性別(男性/女性)・年齢(20代/30代/40代/50代/60代以上)・居住地域(北海道/東北/関東/中部/近畿/中国/四国/九州)ごとに日本の総人口に比例した人口構成比で、計2000名を抽出しています。かなり大きな規模のデータを得ることができました。
 分析の結果を報告論集としてまとめたものが、『共生社会に関する調査――2014年調査報告』です。「共生」に関わる社会意識の様態を捉えることで、社会のなかの多様性や、支援を必要とする状況についての人びとの認識構造が示されました。また、その認識の関連要因となる社会的属性や社会的経験が分析されています。
 様々な指標に基づくそうした分析を通して、現在の日本における共生志向の分岐点を描き出しています。そしてその分岐点に関して、「いかなる働きかけが可能か」あるいは「考え方が分かれていくこと自体をいかに理解し得るか」を考察しています。これによって、今後の研究活動での検討や働きかけの焦点、および、具体的な技術や制度の提案を進めていくための起点を把握することになりました。
 現代日本の社会意識の一端を理解するために、あるいは、社会意識を把握する調査の実例を見るために、本報告論集をご覧いただけると幸いです。


Readingバトン(佐藤 忍 本部教育企画室長)

Readingバトン佐藤忍先生

Readingバトン-教員から筑波大生へのmessage-
山田(前)学長波多野(前)附属図書館長吉武大学研究センター長中山附属図書館長秋山先生渡辺先生五十嵐先生森先生野村先生松本先生永田学長池田先生守屋先生に続く第14走者として、佐藤 忍 本部教育企画室長から寄稿いただきました。


植物はなぜ5000年も生きるのかPick Up
『植物はなぜ5000年も生きるのか : 寿命から見た動物と植物のちがい』鈴木英治. 講談社, 2002.03【分類408-B94-1365】

Book Review
 100歳までも生きる人間は長寿な生物です。最も長生きな動物はゾウガメで200歳まで生きるそうです。一方、植物に目を向けると、樹齢200年の樹木はざらで、日本の最高齢は屋久島の樹齢3000年の屋久杉、世界最高齢は米国のゴヨウマツで樹齢4800年とのこと。なぜ、動物と植物の寿命は10倍以上も違うのかというのが本書の表題です。そこから見えてくるのは、老化とは何か、死とは何か、個体とは何か、という根源的問題です。近年、医療の世界ではES細胞やiPS細胞の発見で、個体や器官の再生が可能となりました。しかしそれは動物での話で、植物では挿し木による根の再生や、地下を這った根からの芽の発生、さらにはカルスからの個体再生など、いわゆるクローン増殖が普通に見られます。一方、どんなに長生きする生物でも結局は死が訪れます。では長寿な種と短命な種では体のつくりや生存戦略がどの様に違い、生命の歴史の中でどの様に進化してきたのでしょうか。これらの疑問に、本書は平易な言葉で本質的なポイントを解説してくれています。著者の鈴木英治氏は植物生態学が専門ですので、植物、特に樹木に関する記述には重みがあります。ヒトをはじめとする動物の老化に関しては多くの本が出版されていますが、動物と植物を対比させながら生き物の在り方を考える本書は、まさに目からうろこの一冊です。2002年発行のコンパクトな入門書ですが、その内容はいささかも古くなっておらず、生物学を専攻している学生にも、生き物や植物が好きな一般の学生にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

■次は、外山美樹先生です。


教員著作ページに32点追加

先生方からご寄贈いただいた著作32点を「筑波大学教員著作の紹介(2014年度)」のリストに追加しました。

  • 伊藤益先生(人文社会系)
  • 秋山学先生(人文社会系)
  • 本澤巳代子先生(人文社会系)
  • 木村周平先生(人文社会系)
  • 濱田真先生(人文社会系)
  • 末益崇先生(数理物質系)
  • 藤田晃之先生(人間系)
  • 櫻井茂男先生(人間系)
  • 齋藤健司先生(体育系)
  • 岡田佳詠先生(医学医療系)
  • 大河内信弘先生(医学医療系)
  • 朝田隆先生(医学医療系)
  • 濱田洋実先生(医学医療系)
  • 緑川信之先生(図書館情報メディア系)
  • 礒田正美先生( 教育開発国際協力研究センター)
  • 四日市章先生( 特別支援教育研究センター)
  • 宍戸駿太郎先生(名誉教授)
  • 島岡丘先生(名誉教授)
  • 内藤裕史先生(名誉教授)
  • 本橋信義先生(名誉教授)

掲載ページ: 筑波大学教員著作の紹介(2014年度)