Monthly Archives: 2月 2013

Readingバトン(中山伸一 附属図書館長)

Readingバトン
中山先生写真Readingバトン-教員から筑波大生へのmessage-
山田学長波多野(前)附属図書館長吉武大学研究センター長に続く第4走者として、中山伸一 附属図書館長から寄稿いただきました。


ケモインフォマティックス背画像Pick Up
『ケモインフォマティックス : 予測と設計のための化学情報学』J. Gasteiger, T. Engel編 ; 船津公人, 佐藤寛子, 増井秀行訳.丸善 , 2005.2【分類430.7-G25】

Book Review
 「ケモインフォマティックス」という多分皆さんにとって聞き慣れないタイトルを持つ本書は、600ページを越える分厚いものです。その冒頭には「ケモインフォマティックスとは化学の問題を解決するための情報科学の応用である」と述べられています。このような学問領域があるということを知っている方は少ないでしょう。そこでは、分子の構造を始めとする化学の情報をどのように扱うか、それをコンピュータでどのように処理するか、さらにそれらに関わるデータベースをどう作るのかということから、データベース等にして集めた情報を使って特定の構造の分子を作るプロセスをどのように設計するか、ある構造の分子がどのような物理的、生理的性質を持つかをどのように予測するかなどの大変幅広い研究を行っております。しかしながら、日本の大学の化学科においてこのような内容の科目は余り見られず、その意味で教科書になるような本はほとんどありませんでした。本書の編集者であるGasteiger先生と監訳者である船津先生はドイツと日本でそれぞれ30年以上に渡ってこの領域の研究を推進してきた第一人者です。その経験と実績をもとに作られた本書は「ケモインフォマティックス」の多様な研究領域を分かりやすく説明しており、この領域で研究する方のための入門書として最適な一冊です。化学や情報科学、情報工学を専攻する学生でこの領域を志す方には一度手に取っていただきたいと思います。

■次は、秋山学 先生(人文社会系)です。


教員著作紹介コメント(対馬美千子先生)

ブックコメントのアイコン対馬美千子先生(人文社会系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。
【本の情報】
『Samuel Beckett and pain(Faux titre:no. 372)』edited by Mariko Hori Tanaka, Yoshiki Tajiri and Michiko Tsushima.Rodopi , 2012【分類950.29-B31】

【コメント】
Samuel Beckett and Painは、ベケット作品における痛みをテーマとする10本の論文から成る論集である。執筆陣は、イギリス、アメリカ、カナダ、日本の主要なベケット研究者である。ベケットは、自らの人生において身体的苦痛のみならず心理的苦痛を経験しているが、彼は、人間の生における苦痛は避けられないものであると考え、そのような苦痛を作品創造のためのインスピレーションの源として受けいれ、深く探っていくことにより困難で過酷な芸術の創造、実践、パフォーマンスの過程の深奥を究めようとした。本書は、文学、文化に関わる分野における痛みについての最近の研究動向を踏まえた上で、これまで散発的にしか言及されてこなかった主題であるベケット作品における痛みの様々な側面を考察する。

本書で論じられるトピックには、ベケットの美学と痛み、喪失とトラウマとしての痛み、痛みとその緩和、限界経験における痛み、アーカイブとしての痛み、日常の生や言語経験における痛みが含まれる。また本書の特徴は、文学、演劇、芸術、哲学、精神分析の分野を横断する、複眼的で学際的なパースペクティヴにもとづくという点にある。


サイエンスビジュアリゼーション演習作品展

サイエンスビジュアリゼーション演習作品展風景2013年2月12日から3月8日までの予定で、中央図書館本館2階 ラーニング・スクエアのプレゼンテーションエリアにて「創造的復興:サイエンスビジュアリゼーション演習作品展」を開催しています。

この「創造的復興:サイエンスビジュアリゼーション演習」

サイエンスを視覚的に効果的に表現することを学ぶことを目的としています。芸術の学生だけでなく、サイエンス系の学生も卒業単位が取得できる授業です。授業は出題者別にグループに分かれ、解説重視のイラストレーションと、アート重視のイラストレーションの2点を、各受講生が作成しました。

ということで、芸術系・生命環境系・医学医療系の教員が合同で担当する、筑波大学らしい学際的な授業となっています。この授業で作成された「サイエンスを視覚的に表現」した作品が、それぞれのグループ(テーマ)毎に展示されてるのが、今回の作品展です。

予備知識がないとなかなか理解しにくい内容をどのように視覚的に表現するか、作品毎に様々なアプローチが見られて、とても面白い展示になっています。アートに興味ある方、サイエンスに興味ある方はもちろん、「あまり詳しくない」方が直観的に見て楽しめる展示です。
筑波大学ならではのアートとサイエンスの融合、新しい「サイエンスコミュニケーション」の姿を、ぜひご覧になってください!

中央図書館のゲートを入って右手、ピンクと白の看板が目印です。