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(60)ターミノロジー

XSL (Extensible Stylesheet Language)

永森光晴

 XML(Extensible Markup Language)ではタグを用いて文書構造を表現する. XMLでは,HTMLのようにあらかじめ利用できるタグを決めてはおらず,利用者が目的に合わせて自由にタグを定義することができる. しかしXML文書に記述されているのは文書の論理的な構造だけで,タグの意味や役割は記述されていない. そのためXML文書を利用者に提示する際には,XML文書を何らかの形に変換する必要がある. 例えば,Webブラウザで表示するためにHTML文書に変換したり,PDFでより細かなしイアウトを行ってAdobeAcrobatで表示したりする. このような,XML文書を何らかの形で提示する方法(スタイル)を決めるためにXSL(Extensible Stylesheet Language)[2]は用いられる.
 XSLはXMLを用いて定義された言語である. XMLを用いて定義した言語はボキャブラリと呼ばれる. XSLは,大きく二つの部分に分けることができる. XML文書の変換言語であるXSLT(XSL Transformations)とべージ記述言語であるFO(Formatting object)である.
 XSLTはXML文書の文書構造を変換するためのもので,XML文書中のタグを置き換えたり,必要なタグを抜き出して新しい文書構造を持つXML文書を生成する. XSLTは1999年11月16日にXSLT Version 1.0としてW3C(World wide Web Consortium) [1]の勧告となっている. 既にXSLTを実装したアプリケーションも多数存在する. 身近なところでは,Internet Explorerを利用してXSLTを用いたXML文書の表示が可能である. その他XSLTに関するソフトウェアとして,Apache[3]のXercesとXalan,James clark[4]のxtなどがある.
 FOは,XML文書を画面に表示したり印刷したりするためのページ記述言語である.FOでは,XML文書のレイアウトやフォント指定などのレンダリングに関する記述をし,PDFなどのファイルを生成する. 現時点でFOを実装した処理系は,ほとんどない. XSLTとFOの機能は互いに独立しており,必ず組み合わせて使わなければならないということではない. XSLTのみを使ってXML文書の構造変換を行うこともできるし,FOだけでXML文書のレンダリングを行うこともできる. また,XSLTで変換した結果をCSS(Cascading Style Sheets:HTML用に開発されたスタイルシート言語)で処理することも可能である.
 XSLは2000年3月27日版のWorking Draftが最新で,現時点でW3Cの勧告にはなっていない. XSLに関連するURLや文献を下記に示しておいたので参考にされたい.特に[1]は,XSLだけでなくXMLに関連した情報を知るために非常に有用である.

参考文献
[1]World Wide Web Consortium.http://www.w3.org/
[2]Extensible Stylesheet Language(XSLT). http://www.w3.0rg/Style/XSL/
[3]The Apache Software Foundation.http://www.apache.org/
[4]James CIark's Home Page.http://www.jclark.com
[5]日本XMLユーザグループ.http://www.xml.gr.jp/
[6]Kay,Michael,XSLT Programmer's Reference.Wrox Press,2000,777p.(ISBN 1-861003-12-9)
[7]Project KySS,宮坂雅輝.XML+XSLによるWebサイトの構築と活用.ソフトバンク,2000,251p.(ISBN 4-7973-1340-4)
[8]Project KySS.XML+XSLサンプル集.CQ出版,2000, 207p.(ISBN 4-7898-1857-8)

*本学助手
*XSL(Extensible Stylesheet Language),by Mitsuharu NAGAMORI