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SCSによる長期研修講義の提供

横山敏秋

 SCS(スペース・コラボレーション・システム)と は,文部省による「衛星通信による映像交換を中心 とした大学間ネットワーク」で,平成8年10月から 運用が開始された.各大学等に小型地球局(VSAT 局)を設置し,そのVSAT局を集中制御する地球局 (HUB局)をメディア教育開発センタ」に設置して いる.各VSAT局では無線従事者を置く必要もなく, 簡単なカメラ等の操作を行うのみで通信ができる. 実施機関,VSAT局数は平成7年度37機関51局,8 年度32機関32局,9年度14機関17局,10年度33機関 39局と増加し,平成11年4月1日現在で116機関139 局となった.またこの中の12機関13局は私立大学で あり,この他メディア教育開発センターに車載局 (移 動局)1局がある.
 平成10年度末には本学にもVSAT局が設置され, 最初に毎年文部省と本学の共催による大学図書館職 員長期研修の講義を,文部省と各講師のご了承をい ただきSCSにより全国に提供した.この研修はr係 長を中心とする中堅職員に対し,学術情報に関する 最新の知識を教授し,職員の資質と能力の向上を図 ることにより,大学図書館の情報提供サービス体制 を充実する」ことを目的に,昭和44年から毎年実施 されている3週間の研修であり,全国の国公私立大 学から40名程度が受講している.例年本学で最初の 1週間,東京で2週間の日程となっている.今年度 も7月12日から30日まで開催し,39名が受講した.
 長期研修は,全国から図書館の中枢を担う人材が 一堂に会して切瑳琢磨することに意義があるが,講 義の中には電子図書館など昨今の図書館の急速な変 化に対応したものも数多くある.一方図書館では予 算的な面や職場から長期間離れて研修に参加させる 時間的余裕が取れないこともあり,研修機会を確保 することが難しい.そこで,長期研修の講義をSCS により全国の大学図書館へ提供し,活用を図ってい ただくよう企画したものである.
 長期研修においてSCSにより提供した講義と参加 局は表のとおりである.また全参加者数は,のべ1,572 名であった.さらには参加局側で自県内の図書館等 に広報して幅広く参加者を募っていただいた等の例 もあり,望外の喜びであった.今回は初めてという こともあり,本学側での様々な不具合があったこと をお詫びする次第である.参加局の反応も概ね好評 であり,継続しての実施や提供講義拡大の要望も寄 せられている.その後も「国際シンポジウム・ネッ トワ」ク文化社会における図書館」,「XML入門セミ ナー」をSCSにより提供し,好評であった.今後と も内容の充実・向上に向けて一層努力していきたい.

日   時 講義名 講    師 参加局数
7月12日
13:30〜15:00
大学図書館の在り方 藤野幸雄
本学副学長・附属図書館長
39
7月12日
15:15〜16:45
大学図書館の運営 高山正也
慶応義塾大学文学部教授
39
7月13日
13:30〜15:00
文献学概説 和泉 新
聖徳大学人文学部教授
本学名誉教授
33
7月14日
13:30〜16:45
大学図書館の建築と設備 植松貞夫
本学図書館情報学部教授
41
7月16日
9:00〜15:00
電子図書館概説 杉本重雄
本学図書館情報学部教授
43
7月12日
13:30〜15:00
保存システム 冨江伸治
筑波大学芸術学系教授
42


図書館情報課課長補佐
Lecture by SCS,by Toshiaki YOKOYAMA