教員著作紹介コメント(鬼界 彰夫先生)

鬼界 彰夫先生(人文社会系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2017/08/21)

【本の情報】
『生き方と哲学』鬼界彰夫著.東京 : 講談社, 2011.7

【コメント】
本書は、生き方に悩む若者が、自分の生き方についてみずから真剣に、そして哲学的に考察するための手引きとして書かれた。大学での学生指導において、そうした手引きを必要としている学生に幾度かであったことが本書執筆の直接の動機だった。彼らが本当に必要としていたのは、誰かに助けてもらうことではなく、自らの思考により自らを暗闇から救い出し、光を見出すことだった。だがそれは困難なことである。とりわけ、どのように考えればよいのか、どのように考え始めればよいのか、しかもそれを、他人の言葉に従うのでなく、自分自身の思考により見出すことは、若者にとって(そして誰にとっても)極めて難しいことである。私が本書で試みたのは、これまでに私が出会った数々の哲学者の中で、こうした営みに正面から挑み、それによって生き続けることのできた哲学者の実際の思考例、格闘例を手本にしながら、自らがそうした営みに挑まざるを得ない若者の手掛かりとなるような、導き、ガイド、手助け、ヒントを示すことだった。こうしたヒントを現に切実に必要としている学生諸君の手に本書が取られ、なんらかの助けになるなら、著者である私自身の生も君たちの行為の光によって再度照らされるだろう。