教員著作紹介コメント(鷲津 浩子先生)

鷲津 浩子先生(人文社会系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2017/11/15)

【本の情報】
『文色と理方 : 知識の枠組み』 鷲津浩子著.南雲堂, 2017.9 【分類939.02-W44】

コメント】
「〈あいろ〉と〈りかた〉」と読みます。落語『蝦蟇の油』からガマの油売りの口上で、「遠目山越し笠のうち、物の文色と理方がわからぬ」と続きます。前半ははっきりと見えないことを示し、後半の〈文色〉は「様子、模様」、〈理方〉は「理屈、原理」という意味ですから、はっきり見えないからチンプンカンプンということですね。
とはいえ、この本は落語の解説本でも、筑波山の案内書でもありません。南北戦争前アメリカ散文についての〈文学研究〉の本です。
ああ、感想文かと思ったあなた!文学なんてくだらないと思ったあなた!この本はあなたのためにあります。
というのも、この本は時代限定地域限定の〈文学〉作品を扱うことにより、その時代のその地域のものの考え方(副題の〈知識の枠組み〉)を探ろうという試みだからです。この作業を通して、従来の〈文学〉あるいは〈文学研究〉の概念を変えようという大胆不敵な企てだからです。
文学好きなあなたには、きっと〈読む〉ことの面白さ、楽しさを伝えてくれることでしょう。