教員著作紹介コメント(青柳 悦子先生)

青柳 悦子先生(人文社会系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2017/01/10)

【本の情報】
『貧者の息子 : カビリーの教師メンラド(叢書《エル・アトラス》)』ムルド・フェラウン著/青柳悦子訳. 水声社, 2016.11【分類953.9-F21】

【コメント】
小説です。翻訳ものはなんだか難しい感じがする、という方も多いでしょう。でもこの作品は、山村での少年時代の思い出を軸にした心温まる内容で、文章も短く、きっとすいすいと楽しく読み進めることができます(ときに涙しながら!)。普段、小説は読まない、という人にもお薦めです。舞台はアルジェリアの片田舎、「カビリー地方」と呼ばれる辺境の地域で、時代は20世紀前半。でも農業が中心のこの地域はなんだか昔の日本みたいなところが一杯あって、私たちにとってまったく遠い所なのに、不思議に近しい印象も覚えるはずです。大学教員が訳したくなるだけあって、掘り下げようと思えばいくらでも深い内容が湧き出てくる、侮れない小説です。