教員著作紹介コメント(岡本 智周先生)

岡本智周先生(人間系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2012/2/6)

【本の情報】

『若者における職業意識の形成 : 教育調査実習』岡本智周, 羽田野真帆, 坂口真康編.筑波大学共生教育社会学研究室 , 2011.12【分類366.29-O42-2010/11】

【コメント】
 2010年から2011年にかけて、筑波大学共生教育社会学研究室では「若者における職業意識の形成」について考えました。人間学群教育学類の 設置科目「教育調査実習」を履修する学生さんを中心に、教育研究科や人間総合科学研究科の院生さんが集合し、関心を共有する研究集団が構成されました。このテーマへの関心は、学生さん・院生さんがまさに置かれている、「学業から職業への移行」という状況から発しているものです。検討を重ねるうちに、個人的な興味や悩みとは異なる水準の「社会意識」を探索するための調査が企画されることとなりました。
 そのような背景で2010年12月に行われた、「中学生と職業意識に関する調査」と「大学生の職業意識に関する調査」の結果を分析したものが、 本報告書です。全体として、職業意識を形づくる要因の多様さが表現されました。中学生においては、将来の自分をどう想定するかという部分に、「夢」の明確さ、思考のポジティヴさ、「働くこと」自体へのイメージの持ち様といった事柄が強く関わってきます。大学生においても、親との関係性、結婚観、留学経験、さらには就職という出来事そのものへの不安や焦りといった事柄に照らして、職業意識の成り立ちを理解することが可能です。
 現代日本の若者の意識の一端を理解するために、あるいは、社会意識を把握する調査の実例を見るために、本報告書をご覧いただけると幸いです。