1.2 大学図書館の運営

                          慶応義塾大学文学部教授

                             高 山 正 也

1. はじめに

 1.1 図書館運営の分析視点

   (1) 経営の一般原則

    1) 経営の要素;職員、情報資源、財源(ひと、もの、かね)

    2) マネジメント・サイクル;計画ー実行ー評価  

   (2) 非営利機関としての図書館経営の特性

    1) 使命の重視

    2) 図書館の評価

 1.2 図書館の持つべき機能(by CLIR=図書館振興財団)

    1) educational institution

    2) cultural organization

    3) information resource

    4) community center

2.学術情報流通の変化と図書館の変容

 2.1 著者と読者 → 著者=読者

 2.2 倉庫 → 市場 → 創造の舞台

 2.3 サービスの目標

      Just in Case

      Just in Time

      Just for you

3. 情報技術の進展と図書館の変化

 3.1 図書館理念の変容

   1)  紙媒体図書館

   2)  機械化図書館

   3)  電子図書館

 3.2 情報化による図書館サービスの変容

   1) 装置の必要性

   2) 速報性

   3) 遠隔利用

   4) 同時複数利用

   5) 改訂可能性・編集容易性

 

 3.3 アクセス概念の拡大とサービスの多様化

   1) 書誌的アクセス

   2) 物的アクセス

   3) 言語的アクセス

   4) 概念的アクセス

4. 職員の問題;専門的能力の開発

 4.1 習得すべき知識

  (1) 情報の組織化と検索

  (2) 情報社会学 

  (3) 情報学

  (4) 情報管理システム

 4.2 養成すべき能力

  (1) 情報システムの設計と管理

  (2) 情報資源の管理

  (3) 情報教育

  (4) 情報技術の評価、導入、維持、及びネットワーク

  (5) 情報サービス機関職員としての情報問題に関する知識と技能

  (6) 情報分析力

  (7) 情報利用者と情報システム技術者との仲介能力

  (8) 情報サービス、及び情報商品の設計と生産能力

  (9) 組織(国を含む)の情報政策の分析・立案能力

  (10) 一般教育への情報技術の適用

  (11) 記録管理と文書管理

 4.3 期待される能力

  (1) 情報専門職としての職能

   1) 情報資源を熟知し、評価・判断・選別する能力を有する。

   2) 利用者の業務についての専門知識を持つ

   3) 有効な情報サービスを開発・管理する

   4) 利用者に優れた訓練とサポートを提供

   5) 付加価値のある情報サービスとプロダクトの提供

   6) 情報の収集、整理、組織化、配布において適切な情報技術を利用

   7) 組織の上層部に情報サービスの重要性を伝える

   8) 利用可能な既存情報プロダクトを開発

   9) 情報利用の結果を評価し、情報管理の上に反映させる

   10) 常に情報サービスの改善を図り、親機関の情報コンサルタントとなる

 

  (2) 情報専門職の資質

   1) 優れたサービス気質を有する

   2) チャレンジ精神を持つ

   3) 広い視野を持つ

   4) 全ての人と相互に有益な協力関係を作れる

   5) 信頼できる人間関係を作れる

   6) 効果的なコミュニケーション・スキルを持つ

   7) チームの一員として、他者と協働できる

   8) リーダーシップを発揮する

   9) 企画立案能力と優先順位付の能力に優れる

   10) 生涯学習や自己のキャリア向上志向を持つ

   11) 起業家としてのセンスと精神を持つ

   12) 専門職間の協調と連携を重視

   13) 変化に対し柔軟に・積極的に対応できる

5. 情報資源の多様化とそれへの対応

 5.1 電子出版の普及とそれへの対応

 5.2 蔵書概念の再構築

6. 図書館の財務

 6.1 図書館のコスト問題

 図 書 館 サ ー ビ ス の コ ス ト

(某政令指定都市A図書館平成12年2〜3月)

  <サービス1件当たりのコスト>

  (1) 館外貸出(1冊あたり)     158円 

  (2) 予約(1冊あたり)       506円

  (3) 館内閲覧(1人あたり)     254円

  (4) 返却督促(1件あたり)   1,651円 

  (5) レファレンス・サービス

   1)所蔵調査(1件あたり)     821円

   2)事項調査(1件あたり)   4,753円

  (6) 催事への参加(1人1回)  14,258円

6.2 図書館の資産評価

 

7. 図書館のマネジメント・サイクル

 7.1 計画、実行、評価

 7.2 計画とマーケティング

 7.3 業務とサービスの評価

 7.4 経営管理権

8. 図書館業務の基本原則 by Donald Urquhart

 (1) 図書館は利用者のためのものである。

 (2) 図書館は利用者の要求に応えていなくても、それは明らかにならない。

 (3) 供給は需要を創る

 (4) 利用者が必要とする文献が選べるように「ガイド」を用意しなければならない。

 (5) 図書館は利用者が欲する文献を利用できるようにしておかなければならない。

 (6) 図書館はそのサービスの代償を受けるべきである。

 (7) 図書館は、一館でもグループとしても、費用対効果について関心を払わなければならない。

 (8) 情報は原則として貨幣額では価値付けできないものである

 (9) 図書館は収穫逓減の法則に関心を払わなければならない。

 (10) 完全を求めて時機を失してはならない。

 (11) 図書館の活動コストは活動の規模が大きくなるにつれて低減すべきである。

 (12) どんな図書館も孤立してはやってゆけない。

 (13) 図書館の経営計画は利用者の要求について客観的なデータに基づくべきである。

 (14) 新技術や新システムを利用するに際して、過去を振り返るのではなく、将来を見つめること

  が必要である。

 (15) 図書館の職員はチームの一員として働くべきである。

 (16) 図書館職は学者・研究者のための閑職ではない。図書館の仕事は多くの研究者・学者の研究

  を促進し、助けるものである。

 (17) 図書館は社会にとって価値あるものであり得る。

 (18) 図書館(学)は経験科学である。

     (図書館業務の基本原則. 剄草書房, 1985,145p.より) 

9. その他(要すれば)