7.7 電子出版の動向

                       丸善 ( )学術情報ナビゲーション事業部

                       ナビ゙ & リンク企画管理グループ長

                                  松 田 和 之

1. はじめに

国立国会図書館長の諮問機関として設置された納本制度調査会の答申[1]では、情報を電子的

媒体等を使用して公表することを「電子出版」、電子出版によって公表されたものを「電子出

版物」と定義している。さらに形態別として、「ネットワーク系電子出版物」と「パッケージ

系電子出版物」に区分しているが、パッケージ系電子出版物を代表するCD-ROMはイントラネ

ットやLAN等のネットワーク経由で利用される機会も多く、特に学術系の電子出版物ではこの

様な利用方法が顕著である。

   一方、現在の生活を鑑みると、「紙を基盤とする情報社会」である感は否めないが、電子出

版とネットワークの融合によりもたらされた「情報の生産流通過程の変革」は、従来著者と読

者の間に位置した出版社、取次店、書店、図書館に対してもその機能やサービス形態の変革を

余儀なくさせている。電子出版を核としたネットワーク提携の可能性を見越した出版社の合併、

購読料等支払に関した電子商取引の増大、図書館における既存メディアのディジタル化や電子

出版物の貸出返却、さらには全てに関わる権利問題など、今電子出版の真価が問われようとし

ている。

 このような状況の中で、特に学術情報の生産流通過程や利用形態が今後どのように変化して

いくのか、財政的課題、制度的課題、技術的課題から今後の電子出版の動向について考察する。

2.進化するメディア

  2-1情報の入手経路

  2-2メディアとしての書籍・雑誌

3.アナログからデジタルへ

  3-1マルチメディア

  3-2出版過程

  3-3ネットワーク系とパッケージ系

4.情報と通信の基盤整備

  4-1グローバルコミュニケーション

  4-2電子出版とネットワークの融合

  4-3電子図書館

  4-4コンソーシアムの形成

5.国内電子出版の動向

  5-1 CD-ROMDVD

  5-2 PDF出版

  5-3 WWWの開設

6.海外電子出版の動向

  6-1 Open eBook

  6-2学協会、大学出版局、商業出版社

7.学術系出版社の出版事情

  7-1 CAPとY2Kへの対応

  7-2アグリゲータへの対応

  7-3既存タイトルの電子版と新規出版

  7-4 Copyright in an Electronic World

  7-5価格政策(値上がりの要因)

8.学術情報の流通の変化と図書館

  8-1コレクションの見直し

  8-2 DDSと電子ジャーナルの活用

  8-3現状組織(予算)の組み直し

  8-4組織内外の専門家や業者とのアライアンス強化(アウトソーシング)

9.電子ジャーナルサービスの現状

  9-1提供形態

  9-2価格と利用形態

10.既存媒体のデジタル化

  10-1メディア変換

  10-2保存と活用

  10-3作業工程

  10-4費用対効果

11.電子出版物活用への社会的合意の必要性

  11-1権利の尊重

  11-2有償提供への社会的合意 _ 無償提供

参考資料 [1] http://www.ndl.go.jp/about/nohon_seido.html