B班グループ討議
「ネットワーク時代における電子図書館への対応と図書館の情報発信について」
グループ討議参加者
高島秀介(埼玉大学) 風巻利夫(東京大学) 諸岡静児(東京水産大学)
茎田美保子(静岡大学) 石定泰典(神戸大学) 山根博(広島大学)
杣友友子(鳴門教育大学) 高木貞治(九州大学) 寿福千代子(鹿児島大学)
増井ゆう子(国文学研究資料館) 小陳左和子(学術情報センター)
司会者・発表者 高島秀介 記録者 杣友友子
1.参加者の大学図書館の現状
参加者11名中所属が大学図書館の者は9名である。残り2名の所属機関(学術情報セ
ンターと国文学研究資料館)の現状については、参考的な内容となった。
(1)OPAC
各図書館とも提供しており、Web版での提供も多くなっている。
(2)自館作成データベース
全文・画像・二次資料データベースを含めて、何らかの形で作成、提供している大学
は実験段階を含めれば9大学中6大学となり、高い率になっている。
(3)CD−ROMサーバ・システム
9大学中6大学で、ほとんどの大学図書館で導入している。
(4)オンライン・ジャーナルの利用
9大学中2大学が契約しており、徐々に増える傾向にある。
2.問題点
各図書館とも、電子図書館的機能ということで、何らかのことを検討・実施している現
状ではある。その予算的措置は科学研究費であったり、学内の特別な経費等で、継続的と
はいいがたいものである。全学的な見地に立って、図書館が中心となり、大学の方針とし
て、企画・立案・予算の確保へという動きは残念ながら現段階では実現していないといえ
る。翻って足元を見つめれば、所蔵資料の電子化の基礎といえる自館の目録所在情報の電
子化率などはどの図書館も蔵書の何割かという現状である。加えて、遡及入力に関して、
人員・予算など計画的に運用されている図書館は、多くはないといえる。
又、業務システムにおいても、満足のいくシステムを保有している図書館は少なく固有の
問題をかかえている。事務処理などの電算化も改善の余地が多い。
3.今後の課題
大学図書館が、従来の図書館的機能の維持・向上をはかるとともに、電子図書館的機能
強化のために何らかの対応を行うことは、時代の要請と思われる。
とりあえず何ができるか
(1)各大学紀要の電子化の可能性
少なくとも紀要類が電子化されることによって、他の図書館で冊子での保存は回避で
きるのではないか。遡及されればその量はかなりのものと思われる。また、一歩踏み込
んで、図書館が中核となり、学内の合意の基に、紀要そのものの電子出版が可能となれ
ば、印刷・発送にまつわる事務の省力化・経費の節約・受入業務・配架・保存スペース
等の軽減につながるのではないか。図書館、大学全体に、波及効果は得られると思われ
る。又、電子出版に関しては、テキスト・画像デ−タ等の規格を検討し、全国的な統一
を図ることが不可欠と思われる。
(2)教材データベースの構築
シラバスなどが既に電子化されている場合、各講義に挙げられている参考図書と図書
館OPACとのリンクをとるという試みは一般的発想になっていると思われる。加えて
、講義中に教官が配るレジュメ・プリントの類をデータベース化し、リンクをとるか、
学内LANを介し提供することが出来れば、大学経営に図書館が積極的に参加するとい
う姿勢をとれるし、教官・学生に対しサービスの向上にもなる。
(3)図書館ホームページにおける利用者教育の充実
ホームページ上の利用案内は冊子体と同じような内容が現状である。大学の講義によ
っては「○○○文献の探し方」を授業の最初にしたり、そのものが単位化されているこ
とがある。案内の内容を分野別の「文献の探し方」まで深めた形で提供してもよいので
はないか。又、外部利用者用(例えばOPACの使い方などを含めたきめ細かな内容)
の項目なども有効な手段と思われる。