平成9年度 大学図書館職員長期研修 グループ討議 A班


     (菊池健二、青野康雄、岩波峰子、宮崎直昭、
      林哲也、村山充、林真人、宮崎靖子、青木緑)


   さまざまな媒体の資料収集の在り方と配架スペース不足への対応について



1.現状報告
 ・配架スペ−スが、多くの図書館で、慢性的に不足している
 ・そのため、利用にも支障をきたしている
 ・さまざまな対策を講じているが、根本的な解決は得られていない

 *実行している対策としては、下記のようなものがある
  a.利用頻度の低い資料を、箱詰め、床積みにしている
     →利用要求のあった際、事務効率上も支障を生じている
   b.重複資料を始めとする不用資料を選択し、廃棄に努めている
   ・昔の指定図書(重複本)を廃棄した
   ・日本医学図書館協会には、重複雑誌交換の制度もある
    (ただし、これは、未製本の消耗品が主な対象であり、廃棄よりも欠号補充的
     な意味あいの方が強い)
    c.受け入れの段階での選択(紀要その他の寄贈資料等)
   ・不必要な寄贈資料は、受け入れず、謝絶する
   ・長期間の保存を要しないと判断される資料は、容易に廃棄できるよう、消耗品
    扱いとしておく
   d.分館、分室から本館へ移送し、保存を委ねる


2.対応策、解決策、課題
2.1.収蔵スペ−スを拡大する
 a.増築、新築
   ・増築の要求をしても、すぐには予算がつかない
   ・現状の財政状況での実現は難しい
   ・増築直後は緩和されても、何年か後にはまた書架スペ−スが必要になる
 b.レンタル倉庫に預ける
   ・経費の捻出の困難
   ・利用が必要な際の対応
 c.書架
   ・学内の他の施設を保存スペ−スとして借用
   ・他の部屋を書庫に転用
   ・集密書架の設置
    ・必ずしもあまり効果的ではない
    ・利用頻度の高い資料を集密書架に配架すると、支障をきたす
   ・書架の増設
    ・閲覧席をつぶす等、他のスペ−スを犠牲にせざるを得ない
   ・書架の工夫
    ・書架の間隔を詰める
     →通路間隔が狭くなる、照明の位置がずれる等の問題点あり
   ・書棚の段数を増やす

2.2.減量化
  ・廃棄、管理換
   ・不用決定までの事務を簡素化・省力化したい
    ・現行の規則に基づく手続きは、あまりにも煩雑で、廃棄・管理換の適時な実
     行を阻害している
    ・たとえば、ホ−ムペ−ジへの掲載で、照会に代えられないか
  ・受入基準、資料管理基準を再検討する
   ・重複資料、一過性の情報を扱う資料は、消耗品扱いにしておく
  ・利用状況を把握し、不用資料を抽出する

2.3.電子化
  ・紙メディアで購入している資料を、電子媒体に切り替える
   ・二次資料をCD−ROMに切り切り替え、冊子体の購入を中止する
   ・電子媒体の導入には、機器の世話をする人員、設置スペ−スも必要
   ・一部の利用者は、旧来の冊子体を依然として希望している
  ・オンラインジャーナルへの切り替え
   ・契約手続が未確定
  ・大学紀要等、学内刊行物を、発行機関で全文デ−タベ−ス化
  ・電子図書館への期待

2.4.分担収集と分担保存
  ・共同保存図書館の構想
   ・相互協力の制度を整備することも必要となる
  ・館種、設置母体を越えた分担収集、分担保存
   ・公共図書館との協定