Web of Science 活用法テキスト版 ここは、Web of Science 活用法について説明したページです。 ここでは、Web of Scienceの特徴、Web of Scienceへの接続方法、検索方法、ジャーナル情報を調べるJournal Citation Reportsの使い方の順に説明をおこなっていきます。 目次 1 Web of Science とは? 2 Web of Science を利用するには 2.1 基本検索 2.2 検索結果の見方 2.3 検索結果から重要な文献を探す 2.4 被引用数と論文の重要度 2.5 引用・被引用論文を調べる 2.6 研究分野の概観や先行研究を調べる 2.7 検索結果を分析する 2.8 検索結果の出力 3 ジャーナル情報を調べる 3.1 インパクトファクターとは 3.2 研究分野で影響力のある雑誌を探す 4 最後に   1 Web of Science とは? アメリカの大手情報企業であるクラリベイト・アナリティクス社が提供する学術文献引用索引データベースです。 あらゆる分野を網羅し、包括的な収録範囲を誇ります。2019年末時点で世界中の21,000誌を収録しています。 ジャーナルの分析データが充実しており、インパクトファクター(文献引用影響率)などを調べられます。 1.1 データの価値・信頼性が高い 客観的な評価プロセスで選別した評価の高いジャーナルのみを収録し、余分な情報を削ぎ落としているので、価値の高い論文を探すことができます。 論文の関連情報や著者データが豊富です。分野、言語、国/地域、所属機関、発行年など、様々な観点から論文を検索可能です。 情報の信頼性が高く、様々な機関が学術統計情報にも利用しています。例えば、論文発表数の国別・年度別推移とか論文の被引用ランキングなどの統計は、そのほとんどが Web of Science のデータを基にしています。 1.2 引用・被引用文献情報が完備 全ての論文データの引用・被引用情報が登録・索引づけしてあり、引用件数の多い論文や、関連性の高い論文を調べることができます。 Garfieldの集中則 インパクトファクターを考案したアメリカの学者ユージン・ガーフィールドによると、次のような規則性があります。 どの分野でも、引用は特定の文献に集中する。 学問分野は相互に密接に関連している。 例えばスポーツについての研究一つをとっても、運動生理学(医学、分子生物学、生化学、栄養学など)、バイオメカニクス(物理学、数学、情報学など)、経営学、経済学、統計学、教育学、心理学、メディア学など、無数の分野と関連しています。 ある分野の重要な文献は、その関連分野からも参照されている。 従って、引用件数の多い論文は重要性が高く、専門領域以外でも利用されている可能性が高いと言えます。 各分野のコア・ジャーナル(重要性が高い雑誌)を集めて引用で繋ぐと、研究分野を超えて効率的な文献検索ができます。 1.3 情報の検索・分析機能が充実 多彩な検索・分析機能が搭載されていて、検索結果やジャーナルの分析、引用マップの作成など、データを様々なかたちで利用することができます。 例えば、ジャーナル同士の関連性を調べたり、研究分野に関係の深い著者を探したりすることができます。 2 Web of Science を利用するには 理療科の方のページにある [Web of Science]をクリックします。 学外から利用する場合には、リモートアクセスサービス(Tulips Warp)を利用します。リモートアクセスサービス(Tulips Warp)についてはこちら。 2.1 基本検索 接続すると検索画面が立ち上がります。 画面中央には、検索語入力欄があり、[基本検索] [著者名検索] のいずれかを選択できます。初期設定は [基本検索] が選択されており、その中でさらに[引用文献検索]。[化学構造検索]に変更することができます。基本検索の初期設定のフィールドは [すべてのテキストフィールド] です。入力した語が、検索可能な全テキストフィールドのどこかに記述されているものを検索します。入力欄右下には検索のボタンがあり、検索したい語を入力してこのボタンをクリックすると検索が始まります。 検索語を空白で区切って入力すると、AND検索(=全ての検索語が含まれる論文を探す)になります。 完全に一致するフレーズを検索するには、引用符でフレーズを囲みます。たとえば、"visually impaired" という条件は、「visually impaired」と完全に一致するフレーズを含むレコードを検索します。これは、[トピック] フィールドと [タイトル] フィールドにのみ適用されます。 著者名や出版年などから検索したい場合は、[すべてのテキストフィールド]と表示されている欄の右側にある下矢印をクリックすると検索フィールド一覧が表示されますので、そこから選択してください。 著者名から検索したい場合は、名字、スペース、名前のイニシャルの順に入力します。 名前の後ろにワイルドカード(*)を使用して検索すると、漏れのない検索ができます。 検索フィールドを追加したい時は、検索語入力欄の下に表示されている[+行を追加] ボタンをクリックすると、[基本検索] ページに検索フィールドを追加することができます。 [+行を追加]ボタン右隣の[+日付範囲の追加]ボタンでは、検索する期間を指定することができます。初期設定では出版日の全範囲となっています。 2.2 検索結果の見方 検索結果一覧画面について説明します。 1枚の画面に表示される件数は、初期設定では50件に設定されています。 これは、画面の一番下[ページサイズ]の右側にある下矢印をクリックして、10件、25件に変更できます。 画面左上に検索結果の件数が表示されます。検索結果件数の下に検索語入力欄があり、検索時に入力した語が入っています。 検索結果が多すぎた場合、画面左側の「検索結果の絞り込み」欄で、クイックフィルター、出版年、ドキュメントタイプ、分野、著者、著者所属などいろいろな条件で絞り込みが可能です。各項目の下にある「詳細表示」をクリックするとより細かい絞り込みができます。 検索でヒットした各レコードは、論文名、著者名、年月、収録している雑誌のタイトルとその巻号、ページ、抄録が表示されています。それらの下には [Tulips Linker] や出版社サイトなどのアイコンが並びます。 [Tulips Linker] をクリックすると、本学が契約している電子ジャーナルの本文を表示させたり、図書館の所蔵を確認したりすることができます。また、本学に所蔵がなくても、学外から有料で複写物取り寄せの申込をすることができます。 新しい検索を始めたい場合は、画面左上の [WEB OF SCIENCE] のロゴをクリックすると検索開始の画面に移動します。検索結果は、画面左のメニュー画面のうち上から2番目にある [検索履歴] テーブルに追加され、現在の接続が終了するまで保存されます。 2.3 検索結果から重要な文献を探す 一覧表示の上部右側に [並び替え条件:関連度] と表示されています。下向きの三角をクリックすると、日付、被引用数、出版物名、第一著者名を選択した上で並び替えを行うことができます。 [被引用数-多い順]で並び替えることにより、文献が他の出版物で引用された回数の多いものから順に並び替えられます。 被引用数の多い論文は、それだけ注目されて利用されている文献なので、価値が高いと言えます。従って、被引用数の多い順に並べると、重要論文を探しやすいことになります。 2.4 被引用数と論文の重要度 被引用数の多さが論文の重要度の絶対的な指標ではないので次の点に注意しましょう。 引用されやすい分野とされにくい分野があり、特に人文系や基礎学問系は不利と言える。 被引用数には、批判のために引用している論文も含まれる。 古い論文の方が新しい論文よりトータルの被引用数では多くなりやすい。 原著論文に比べて、レビュー論文の方が引用されやすい。 英語以外で書かれた論文は、当然、被引用数は少なくなる。 論文の価値が非常に高くても、掲載誌がマイナーだと引用数は低くなりやすい。 自分の論文で過去の自分の論文を引用すれば、その被引用数は上がる。 研究手法・分析法などについての論文は超絶高引用論文となる可能性がある。 2.5 引用・被引用論文を調べる 検索結果一覧の個々の論文タイトルをクリックすると、詳細表示画面に移動します。 画面上に [全文オプション] のリンク( [Tulips Linker] など)が表示されます。 画面右手の [引用ネットワーク] に引用情報が表示されています。 [被引用数] は、現在の論文を引用している論文の数です。 数字をクリックすると、この論文を引用している論文がすべて表示されます。 [引用文献] は、現在の論文が引用している論文の数です。 [関連レコードを表示] をクリックすると、この論文と共通の引用文献を持つ関連度の高い論文が表示されます。 トップ画面からの [引用文献検索] について説明します。 検索語入力欄の上に表示されている [基本検索] の右隣にある [引用文献検索] を選択します。引用著者名、出版物名、出版年の入力欄が初期設定で表示され、その他引用タイトル、巻、号、ページなどで検索可能です。雑誌論文だけでなく、単行本、会議録、特許などの引用文献も調べることができます。 著者名および出版物名から検索する場合は、語尾にワイルドカード(*)をつけてください。例えば、村上春樹の「ノルウェイの森」を引用している論文を調べるには、[著者名] に 「murakami h*」 、[出版物名] に 「norwegian*」 と入力し、検索ボタンを押します。検索結果が表示されますので、必要なものを選択し、[選択した文献で検索] をクリックすると検索結果が表示されます。 2.6 研究分野の概観や先行研究を調べる 特定のテーマに関する原著論文を収集し、整理・評価した論文を、レビュー論文と言います。レビュー論文を読むことにより、先行研究を効率的に調べることができます。研究テーマのキーワードを入れて検索した結果に、クイックフィルターにある[Review Articles]か、 [ドキュメントタイプ] の [Review Articles] にチェックを入れて絞り込み、その結果を被引用数の多い順に並び替えると、有用なレビュー論文がわかります。 2.7 検索結果を分析する 検索結果一覧画面の上の検索語入力欄の右側にある [結果の分析] をクリックすると、検索キーワードについていろいろな観点から分析した結果が表示されます。 例えば、初期設定の[Web of Science分野]と [著者名] を指定した場合、検索キーワードについてその研究分野で論文数の多い著者の上位10位までが表示され、関連の深い研究者がわかります。 同様に、 [出版物名] を指定すると、その分野の有力なジャーナルを調べられます。グラフ表示は、ツリーマップ(初期設定)、棒グラフ、グラフを非表示、から選択できます。 検索結果が1万件以下の場合、検索結果一覧画面の右上の [引用レポート] をクリックすると、論文数と、被引用数(引用された回数)の年代別推移を棒グラフにすることができます。 [引用レポート] の画面の [被引用記事数] の数字をクリックすると、検索で得られた論文群を引用している論文群が表示されます。 [自己引用を除く表示] の右横の数字をクリックすると、引用記事から自己引用を除いた論文が表示されます。 2.8 検索結果の出力 検索結果一覧画面、詳細画面の上部に表示されている [エクスポート] のアイコンをクリックして検索レコードの印刷、メール送信ができます。 必要なレコードだけを選んで一時保存し、まとめて出力することができます。一覧表示画面の各レコードの先頭に表示されるチェックボックスにチェックをつけ、[マークリストに追加] をクリックします。ページ上部のメニューバーにある [マークリスト] リンクをクリックして [マークリスト] ページに移動します。[マークリスト] に最大 5,000 件のレコードを追加して、印刷、保存、Email、エクスポートをすることができます。 3 ジャーナル情報を調べる Journal Citation Reports [Journal Citation Reports] は引用情報を元に作成された雑誌の重要度、影響度を測れるデータベースです。 [Web of Science] 左端の[製品]をクリックし、 [Journal Citation Reports] をクリックすると検索画面が開きます。画面中央の検索ボックスに雑誌名を入れて検索すると、自動的に候補が表示されます。求める雑誌を選択すると、詳細ページ [Journal Profile] が表示され、[Journal Impact Factor] のところに、各年のインパクトファクターが表示されています。 [Journal Citation Reports] へは、 [Web of Science] の検索結果からもアクセスできます。検索結詳細画面の雑誌タイトルをクリックしてインパクトファクターを確認できます。また、[出典:[Journal Citation Reports] のリンクをクリックすると、当該雑誌の [Journal Profile] ページに移動することができます。 3.1 インパクトファクターとは インパクトファクター(文献引用影響率)とは、特定のジャーナル(学術雑誌)に掲載された論文が特定の年または期間内にどれくらい頻繁に引用されたかを平均値で示す尺度です。 この数字が大きければ影響度の高い雑誌と考えられます。 インパクトファクターは、引用された数÷論文数で求められます。例えば  A = 2012年、2013年に雑誌Cに掲載された論文が2014年中に引用された回数  B = 2012年、2013年に雑誌Cが掲載した原著論文の数 雑誌Cの2014年のインパクトファクター = A÷B となります。 インパクトファクターの注意点 雑誌の影響度を測る指数で、個々の論文や研究者の影響度を評価するものではない。 数字は年ごとに変わる。 論文の被引用数は分野によって大きく異なるので、違う分野の雑誌のインパクトファクターを比較しても意味はない。 インパクトファクターはジャーナルの評価を決める絶対的数値ではなく、あくまでも尺度の一つと考えましょう。 インパクトファクターの問題点 レビューが多い雑誌はインパクトファクターが上がりやすい。レビュー誌は引用されやすいが、原著論文より論文数が少ないため。 論文の掲載数の少ない雑誌は数値が高くなりやすい。 被引用数の計算対象を直前の2年だけにしているので、研究の進度がゆっくりで長期的な分野では数値が低くなる。 特定の専門家向けの雑誌は、学際的に広く利用されている雑誌よりインパクトファクターは低くなりやすい。 インパクトファクターの数字は、実際のところ、その雑誌に掲載されている平均的な論文の被引用数になっていません(平均値と中央値の乖離)。現実には、被引用数を大きく引き上げるスター論文がある一方、あまり引用されない論文もたくさんあります。 詳細画面のここにも注目 [Cited half-life] 被引用半減期 その雑誌に掲載された論文がどれだけ長い期間を引用され続けているかを測る数字。話題性だけでなく、ずっと影響力を与え続けている論文が多い雑誌を探すのに便利です。 [Eigen Factor] アイゲンファクター 重要度の高い雑誌からどれほど引用されているかを測る数値。インパクトファクターより、こちらの方が雑誌影響度の実態を示していると言われています。インパクトファクターの欠点から生まれた指数ですが、まだあまり一般化されていません。 [Normalized Eigenfactor] 正規化アイゲンファクター その分野のジャーナルの平均値が1となるように計算されたアイゲンファクター。元のアイゲンファクターより、感覚的にわかりやすいです。 [Immediacy Index] 最新文献指数 その年に掲載された論文が、同年中にどれだけ多く引用されたかを示す指数。研究最前線のホットな論文が多い雑誌を調べる場合はここに注目してください。 3.2 研究分野で影響力のある雑誌を探す その分野のジャーナルリストからジャーナルのタイトルを選択することもできます。 検索入力欄下の[Browse categories]をクリックします。21の分野グループが表示され、グループ名をクリックするとさらに細かい分野が表示されます。分野名をクリックすると、その分野の情報エディションの表が表示されるので、分野名か [# of Journals] をクリックすると、その分野の雑誌がインパクトファクターの大きいものから順に表示されます。 4 最後に 今回ご紹介しましたのは Web of Science の機能のほんの一部です。他にもたくさんの機能がありますので、是非、いろいろと試してみてください。 画面左下の「?」に [ヘルプ] もありますので、そちらで使い方を調べることも可能です。 もし、わからないことなどがありましたら、気軽に職員にご相談ください。メールでの質問も受け付けています。 連絡先:03-3942-6818 e-mail: ill-otsuka@tulips.tsukuba.ac.jp 最終更新日:2023年7月6日