教員著作紹介コメント(山本 容子先生)

山本 容子先生(人間系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2017/11/14)

【本の情報】
『環境倫理を育む環境教育と授業 : ディープ・エコロジーからのアプローチ』 山本容子著.風間書房, 2017.1 【分類375-Y31】

【コメント】
本書は、欧米を中心として広まりつつある環境倫理、特にディープ・エコロジーの視点を導入した環境教育の展開と特質を解明し、その授業づくりを実践的に検討したものです。
ディープ・エコロジー思想は、環境問題の解決を人間の内面の意識変革に求めており、自然の中での「自己実現」(self-realization)を通して生命の固有の価値を見つめ直すことを試みています。この思想を導入した環境教育は、特に、アメリカ、カナダ、オーストラリアにおいて広まりを見せています。
本研究では、ディープ・エコロジー思想の中心概念「自己実現」を導入し、内面の自己変革を図ることを目的とした、高校生物における環境教育のプログラム開発を行いました。ディープ・エコロジーは日本の禅の思想の影響も受けているといわれておりますので、本研究で実践したプログラムはいわば、日本から欧米に渡った日本の思想を逆輸入し、日本の学校教育と生徒の実態を考慮して開発した環境教育であると言えます。そして、日本の高校生の環境意識がどのように変化したのか、また、このような環境教育を行う上での課題は何かを検討しています。筆者が2013年に筑波大学に提出した博士(教育学)学位請求論文に基づくものでありますので、お読みいただけましたら幸いです。