教員著作紹介コメント(島田 雅晴先生・和田 尚明先生)

【本の情報】

比較・対照言語研究の新たな展開の書影

比較・対照言語研究の新たな展開 : 三層モデルによる広がりと深まり

廣瀬幸生, 島田雅晴, 和田尚明, 長野明子編

東京 : 開拓社 , 2022.11【分類 801-H72】

【コメント】

本書の副題にある「三層モデル」とは、文法と語用論の関係を包括的かつ原理的に捉えるために考案された一般的言語理論であり、言語使用において普遍的に存在するレベルである「状況把握」「状況報告(伝達)」「対人関係」という3つの層(認知レベル)のデフォルト的組み合わせ方の違いによって、言語類型論的な特徴づけを行える理論です。第1弾である『三層モデルでみえてくる言語の機能としくみ』では日英語を中心に扱い、英語は公的自己(伝達・報告主体としての話し手の側面)を重視する言語、日本語は私的自己(思考・意識主体としての話し手の側面)を重視する言語であるという一般化の検証を試みましたが、第2弾である本書では、日英語に関してはその一般化をさらに掘り下げた形で検証を行う一方、日英語以外の言語としてドイツ語・フランス語・中国語・韓国語ではどのようになるのかを検証することで、更なる発展を目指しています。言語比較・言語類型論に興味のある方にはぜひ手に取っていただきたいと思います。

 

島田雅晴(人文社会系)・和田尚明(人文社会系)