教員著作紹介コメント(中野目 徹先生)

【本の情報】

日記で読む長善館 : 鈴木家三代の幕末~明治
 中野目徹監修 
 燕 : 燕市, 2021.3【分類 372.105-N73】

【コメント】

このコーナーをお借りして自著を紹介するのは2度目です。
1度目は今から4年前、『長善館史料館所蔵資料目録』という書物でした。
今回の著書も前回同様、新潟県燕市からの委託事業として、私を中心とする長善館史料館所蔵資料調査会
のメンバー(人文学類の日本近現代史ゼミの学生とOBで構成)が共同して取り組んだ成果です。
長善館は、天保4年(1833)から明治45年(1912)までの80年間、当時の西蒲原郡粟生津村で続いた
漢学塾でした。その塾主を三代にわたって務めた鈴木家の二代目当主惕軒とその息子の柿園・彦嶽(三
代目当主)の3人によって書き継がれた日記を翻刻(抄録)したのが本書です。
この日記からは、当時の在村の漢学塾の様子だけでなく、明治維新をはさむ時期の周辺地域の様子、
家族や親戚付き合いの様子、とくに息子たちを養子に出してまでも上京させ高等教育を受けさせようと
する様子などが、手に取るようにわかります。加えて、彼らの思想世界の広がりと深まりがうかがえる
ことが、何よりの収穫です。

解説は、私と田中友香理先生が手分けして書きました。全文のテクストデータをCD-ROMに入れて
附録としました。
ゼミの教育成果でもありますので、一度手に取ってご覧いただけますと幸いです。