教員からの紹介コメント(田中博先生)

【本の情報】
はじめての気象学』 改訂版
田中博, 伊賀啓太著
東京 : 放送大学教育振興会, 2021.3【分類 451-Ta84】
【コメント】
本書は、放送大学の印刷教材として2015年に出版された教科書の改訂版である。
はじめて気象学を学ぼうとしている多くの人たちは、テレビやラジオ、そしてインターネットなどにより毎日のように解説される天気予報を正しく理解し生活に役立てたいと思っているに違いない。気象は私たちの毎日の生活に密接に関係しており、社会生活に大きな影響を与える。
本書の内容は、毎日接する天気をより深く理解することだけでなく、世代を超えた地球環境問題を考える際にも役立つはずである。

【本の情報】
偏西風の気象学
田中博著
東京 : 成山堂書店, 2007.4【分類 451.4-Ta84】
【コメント】
本書は、筑波大学の学群生を対象に長年行ってきた講義をベースに、亜熱帯ジェット、寒帯前線ジェット、極夜ジェットなどの偏西風の観測事実の記述、それらの成因を理解するためのエネルギー論、そして、著者の研究テーマであるブロッキング、北極振動、温帯低気圧、傾圧不安定などを織り交ぜて執筆したものである。
啓蒙書としては難しい内容になったかもしれないが、気象学の先端的知見を一般人に伝えることを心掛けた。学生の自習のための参考になれば幸いである。

【本の情報】
地球大気の科学
田中博著
東京 : 共立出版, 2017.6【分類 450-G34-3】電子ブックもあり
【コメント】
本書は、大学の学部生と大学院生をおもな対象として、筑波大学の学群および大学院の大気科学の講義資料から執筆した教科書であるが、微積や線形代数の基礎を既に修得した地球惑星科学の他分野の専門家の参考書としても利用して頂けると幸いである。
本書は宇宙から地球を俯瞰した大気大循環をおもな対象とし、大気科学全般を網羅するものではないが、現代地球科学の幅広い理解を志す読者に少しでも役立つことを願っている。

【本の情報】
Modal View of Atmospheric Variability
Žagar, Nedjeljka, Tribbia, Joseph
Springer, 2020【分類 450.1-Z1】
【コメント】
本書は、N. Zagar (ハンブルグ大)、J. Tribbia (NCAR)、笠原彰 (NCAR)、田中博 (筑波大)の4名が執筆した大気大循環のノーマルモードに関する専門書である。全6章の打ち4-6章を田中が執筆した。大気力学の支配方程式を、静止大気を基本場に線形化することで理論的に解かれる基準振動はノーマルモードと呼ばれ、西進ロスビー波、西進慣性重力波、東進慣性重力波の3種類の波からなる。これらの正規直交解を波数展開の基底に用いることで3次元スペクトルモデルが構築される。
本書では、大気大循環の3次元ノーマルモードエネルギー論、任意の基本場に対するノーマルモードの一般解、順圧・傾圧不安定波の一般化理論、ロスビー波の砕波と飽和によるの地衡風乱流スペクトルとブロッキング、北極振動の特異固有解理論などについて詳しく解説されている。