教員著作紹介コメント(田中佐代子先生)

田中佐代子先生(芸術系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2013/05/01)

【本の情報】
『科学者のためのビジュアルデザインハンドブック(科学研究費補助金(基盤研究C)研究成果報告書:平成22年度-平成24年度)』田中佐代子著.田中佐代子 , 2013.3【分類727-Ta84】

【コメント】
ビジュアルには、a)直感的な理解、b)詳細な情報の正確な伝達、c)即時性、d)強烈な記憶形成、など優れた特徴があり、言葉による伝達がむずかしい内容でも容易に伝達できる力があります。
 こうしたビジュアルの特徴は科学の伝達にかつてから生かされてきました。そして今、研究発表のビジュアル化が進んでいます。学会発表スライド、学会発表ポスター、論文や報告書のイラストなど、科学者自身が作成する機会が増えています。さらに研究者のアウトリーチ活動の義務化も進んでいます。
 でもデザインやイラストはちょっと苦手。。。それに実験や論文執筆のほうで忙しいから、デザインやイラストにあまり時間かけられない。。。という科学者の方々や、そしてみなさんのように科学者を目指す学生も多いと思います。
 そんな方々のために、研究関連のビジュアル資料を作成するために役立つ、実践的なハンドブックがこれです。
 科学者のニーズに沿ったハンドブックにするため、科学者へのアンケート結果を基に作成しました。アンケート調査では「イラストレーション(略してイラスト)」という言葉を使用していました。(当初、科学者にとっては、なじみのあるわかりやすい言葉だと思ったからです。)しかしそれらの言葉の場合、本来の意味からすると、ビジュアル資料のなかの「図」に限ってのみを指し示すことになります。このハンドブックには、画面の構成方法、書体・文字組といった内容も含めることになったため、全体を示す言葉として「ビジュアルデザイン」のほうが相応しいという結論に達し「科学者のためのビジュアルデザインハンドブック」という書名にいたしました。
 「まずは自己分析」という最初の章で、あなたに必要なページがすぐに見付けられるようになっています。そして「パワポで描く」「グラフ・表・チャート」「効果的な配色」「フォントと文字組」「画面の構成方法」といった章で、研究発表に関わるビジュアルデザインの基本を、視覚資料を使って、わかりやすく解説しています。
 このハンドブックの主なポイントは2つ。「わずかひと手間のちがい」「シンプルの強さ」。これを学生である間に体得できればしめたものです。
※ 中央図書館ラーニング・スクエアの「アカデミックスキルズ図書」の本棚にもあります。