礒田 正美先生(教育開発国際協力研究センター)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2012/11/12)
【本の情報】
『Matemáticas para la educación normal』editores, Masami Isoda, Tenoch Esaú Cedillo Ávalos ; traducción y adaptación al español, Tenoch E. Cedillo Ávalos.Naucalpan de Juárez, Estado de México : Pearson Educación de México, 2012【分類375.941-H77-1 ~ 6-2】 (全11冊)
【コメント】
本書は、メキシコ連邦教育省と筑波大学の共同研究成果を出版したものである。本書は、メキシコ全土に400校存在する全師範大学において2年次における通年講義「小学校算数科教材研究」の教科書として、連邦教育省より全師範大学図書館に複数配架された。原著は、日本の小学校教科書「みんなと学ぶ小学校算数」(学校図書,2005)である。原著は、筑波大学附属小学校算数部の先生方の貢献によって作成された文部科学省検定教科書である。もっとも、本教科書の大学教育での利用法の解説は、大学教員向けの研究図書2冊として別途出版されている。その2冊についての研修を受けた大学教員が教える「小学校算数科教材研究(講義名)」の中で、学生は、1年間、本書を課題図書として利用する。その意味で、本書は算数教材に対する素養を学ぶリソースである。すでに、9月より、実際に利用されている。メキシコの人口は日本とほぼ同等であり、人口減の日本に対して、人口増という状況にある。この教科書で学んだ小学校教員が今後増大していく。筑波大学はそこに貢献している。本書の目的外の利用としては、スペイン語での算数表現を学ぶ際の基本著作と言える。
教科書の裏表紙には、メキシコ連邦教育省、メキシコ連邦教育省教員養成局、そして筑波大学のロゴが印刷されている。出版元のPearsonは、世界の主要教科書会社の一つであり、スペイン及びラテンアメリカ随一の出版社である。一般に国の著作物の場合、個人名や海外機関は記されない。謝辞、協力者としてのみ記される。本書の場合、メキシコ連邦教育省と筑波大学の共同研究であることから、筑波大学と筆者を含めた関係者の貢献を示すために、連邦教育省の著作物であるが、出版物としてPearsonに委託出版し、各師範大学に配布する手順を採用している。本教科書の開発を直接行ったのは、礒田正美と連邦教育省教員養成部長のTenoch Esau Cedillo Avalosである。氏は、メキシコ全土に78キャンパスあるメキシコ教育大学の前研究担当副学長である。本プロジェクトをメキシコで推進するのは、メキシコ連邦教育省教員養成局長Marcela Santillan(前メキシコ教育大学学長)である。