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教員著作紹介コメント(中田 英雄先生)

中田 英雄先生(教育開発国際協力研究センター)よりご著書の紹介コメントをいただきました。(2010/04/30)

【本の情報】
『New paradigm of education for improving quality of life : proceedings : international symposium center for reserch on international cooperation in educational development (CRICED)』  editor Ahman Mustofa Kamil ; copy editor Annisa Suliastini ; jointly faunded by CRICED, the University of Tsukuba, Japan and Indonesia University of education. [Universitas Pendidikan Indonesia], [2009]【分類番号372.04-Mu89】

【コメント】
これは、2009年8月にインドネシア教育大学に新たに設置された教育開発国際協力研究センターの落成を祝して開かれた国際シンポジウムの会議録です。本学には教育開発国際協力研究センター(CRICED)が2002年4月に設置されています。インドネシア教育大学にも同じ名称のセンターが設置され、これから協働で教育協力を推進していくことになりました。

インドネシア教育大学との交流の始まりは1988年にさかのぼります。同大学の二人の講師が文部省(当時)の奨学生として本学の大学院教育研究科修士課程に入学し、その後入学した講師が大学院博士課程に進み、博士号を取得しました。留学生が帰国後も交流が続き、博士号を取得した講師の結婚式に出席したこともあります。インドネシア教育省に障害のある人の体育スポーツであるアジア障害者体育スポーツ学会を紹介したところ、インドネシアにも学会ができ、2004年にバリ島でアジア障害者体育スポーツ国際会議が開かれ、2010年8月にはソロ(スラカルタ)で同国際会議が開催の予定です。2004年からインドネシア教育省及びインドネシア教育大学等と協働で特別支援教育分野の授業研究会を行っています。2004年以来毎年1回、バンドン、スラバヤ、パダン、ソロ、ジョグジャカルタ、スラバヤ、マカサルで協働授業研究会を開いてきました。2004年から2008年までは本学附属特別支援学校の先生や沖縄、横浜、岐阜の先生に上記の授業研究会で実際に授業をしてもらいました。この授業研究会は、インドネシア教育省の特別支援教員研修の一環として位置づけられ、毎回200人ないし300人の現場の先生が全国から参加しました。これまで授業を観る、参観するという習慣のなかったインドネシアでこの授業研究会は特別支援教育の授業の質改善になんらかの効果を与えているように思います。インドネシアにはGotong Royongという言葉があります。お互いに助け合うという意味です。「この協働授業研究会にはGotong Royong の精神が息づいています」とシンポジウムで話したところ会場にどよめきが起こりました。バンドンの近くのレンバンという町の道路のロータリーにGotong Royong と彫った大きな碑がありましたが、聞くところによると今ではこの言葉は死語になりつつあるということでした。中進国となったインドネシアでは、スカルノ時代の言葉はもはや若い世代の頭から消え去りつつあるのかもしれません。2006年にインドネシア教育大学と部局間交流協定を結び、毎年同大学の先生を外国人研究員として招聘しています。このような研究交流の積み重ねの結果がインドネシア教育大学のCRICED設置につながったと思います。インドネシアの人の多くは親日的で、日本人をブラザーと呼びます。お互いの国の大学にあるCRICEDがよきブラザーとして、パートナーとしてこれからますます発展していくと確信しています。

1984年に私が初めてパスポートを取得して、初めて外国に行った先がインドネシアのロンボク島でした。その頃インドネシアとこれだけ深くかかわるようになるとは夢にも思っていませんでした。