『英語リテリングの指導・テスト・評価ガイド』
平井明代 著
大修館書店, 2025【分類 375.893-H64】
【コメント】
中学校および高等学校の学習指導要領において、4技能5領域を結び付けた統合的な言語活動が重要視されており、ストーリーリテリングはその代表的な活動の1つになっています。ストーリーリテリングとは、読んだり聞いたりした内容を口頭または筆記で伝える活動のことです。
理解した内容であれば、自分の言葉でわかりやすく伝えることが可能です。しかし、第二言語である英語で伝えるとなると、語彙や文法、発音等を正しく使えなければ、その内容を適切に伝えることはできません。その意味で、まとまりのあるストーリーを伝達するリテリング活動を通して、情報を理解するインプット技能だけでなく、情報を伝えるアウトプット技能を鍛えることができます。
本書では、言語習得理論に基づいたさまざまなリテリング活動を紹介することで、中学校や高等学校の帯活動や大学の一般英語の授業などで活用できるようになっています。また、ストーリーリテリング活動をテスト(Story Retelling Speaking Test: SRST)として、使えるようにその実施方法と評価方法も詳細に解説しています。本書の最大の魅力は、50点のオリジナルストーリーを使って、意見交換や批判的思考力など様々な力の養成を意図した80点近くのSRSTが収録されていることです。これらの教材を利用して、インプットとアウトプットの両技能が磨かれ、コミュニケーション能力の向上に役立てていただければ幸いです。