2016年7月26日
Readingバトン- 教員から筑波大生へのmessage-
菊池先生に続く第26走者として、西川 博昭 附属図書館長から寄稿いただきました。
Pick Up
『時間-その哲学的考察-』滝浦静雄著 ; 東京 : 岩波書店, 1976.3【081-I95-B960】
Book Review
この本は、誰にとっても自明と考えられる時間について、哲学的な考察を加えたものである。本書の冒頭の時間のパラドックスの中で、絶対時間と常識的時間について言及した後、時間は、さまざまな事物の運動や生成・消滅など、一般に変化と呼ばれるものの原理でなければならないとしている。全般を通じて哲学的であり、ややもすれば難解のように見られるが、私にとっては、いわゆるアインシュタインの一般相対性理論との対比によって、知的好奇心を強く刺激された書の一つである。
Pick Up
『情報の探検-コンピュータとの発見的対話-』坂井利之著 ; 東京 : 岩波書店, 1975.10【081-I95-B944】
Book Review
この本は、コンピュータと人間とが対等な立場で対話できれば、人間個人の求めているもの、その人自身でも未経験で、確信をもって言えないこと、つまりアルゴリズムもわかっていない問題を取り扱うことができるのでは、しかも、試行錯誤の末になんとか目標にたどりつくのではなく、かなり直線的に求める情報が探索できるのではなかろうかと着想し、それら一連のシナリオを明らかにしてみようと試みている。現在、話題を提供している、人工知能やディープラーニング、ビックデータ解析と基礎としてどのように評価できるかなどの観点から読み進むことをお勧めする。
■次は、北川博之先生(システム情報工学研究科長)です。