小特集 郷土ゆかりの人々とその著作


『北蝦夷図説』(きたえぞずせつ)

4巻4冊 間宮林蔵述 村上貞助(泰貞廉)編 安政2(1855)年刊
著者は江戸時代後期の探検家として知られている。
常陸国筑波郡上平柳村(現・伊奈町)に生まれた。
文化5(1808)年から6(1809)年にかけて、2度の北方探検を行った。
その報告書の一つとして幕府に献上された『北夷分界余話』は、
探検調査に基づく、図入りの画期的な北蝦夷(カラフト)の地誌・民族誌である。
本書はその流布本としてよく知られているものである。


『東韃地方紀行』(とうだつちほうきこう)

3巻3冊 間宮林蔵述 村上貞助編纂 文化7(1810)年以降写
『北夷分界余話』と共に文化8(1811)年に幕府に献上された同名の書物とほぼ同じ内容の写本である。
2度目のカラフト踏査と、黒龍江下流地域探検の模様を彩色された挿図を交えて詳細に紹介した著名な北方探検記である。
特に、巻中の東韃靼のデレンの満州仮府(清朝が設けた進貢や交易のための出張所)についての図説は、非常に貴重な資料である。


『訂正増訳采覧異言』

12巻8冊 山村才助著 安政3(1856)年写
山村才助は土浦藩士で、大槻玄沢の門に入り蘭学、特に世界地理学を学んだ。
新井白石がイタリア人宣教師シドッチから聞き取って著した世界地理書『采覧異言』(正徳3(1713)年序)を、
多くの和漢洋の文献史料を駆使し、厳密な批判と考証を行って増訂し、
享和(1802)年に完成したのが本書である。
質・量共に白石の原著をはるかに凌ぎ、江戸時代最高の地理書といわれる。


『田令図解抄』(でんりょうずかいしょう)

1巻1冊 色川三中述 江戸時代後期写
色川三中は江戸時代後期の国学者である。
土浦の醤油醸造業などを営む商家に生まれ、家業と学問とを巧みに両立させつつ、
国史・古典の研究に精魂を傾けて多数の著述を遺した。
特に田制・税制・度量衡の研究と古文書の収集・編纂に優れた業績をあげた。
本書もその一つであり、古代以来の田制及び田租の沿革を考証したものである。


『長塚節自筆書簡』

父・源次郎宛 明治40(1907)年
 長塚節は岡田郡国生村(現・石下町国生)に生まれた歌人・小説家である。
正岡子規との出会いにより、生涯と文学の方向が決定づけられた。代表的作品としては『土』『鍼(はり)の如く』などがあげられる
父・源次郎は明治20年以来数回県会議員に当選したが、そのために家産を傾けた。
この手紙は、その借財整理に関わるもののようである。
また、妹・花子や友人の伊藤左千夫に対しての心くばりもうかがえる。


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Last updated: 2011/02/08