御挨拶
このたび筑波大学附属図書館では、特別展「近代教育の黎明期と初等教育」を開催することになりました。
明治5年に始まる義務教育の施行は、すべての国民を対象に初等教育を行い、
それまで教育にめぐまれなかった人々に、
あまねく学習機会を提供することに成功しました。
近年の生涯学習社会では、それぞれの人々がそれぞれのライフサイクルのなかで、
自由に学習機会を選択することが可能になりつつあります。
教育や学習の意義が新たに問いなおされた幕末から明治の時代の息吹には、
生涯教育が求められる現代、大いに触発されるものがあります。
本学では、明治6年に本学の前身である師範学校が開設されて以来、
教育に関する多くの資料の収集に努めてきました。
今回の展示では、明治初頭の学校教育をテーマとし、
それらの資料を構成して展示します。とりわけ文明開化期の、
覇気に富み、自由・闊達に行われた教育の様子を、
当時使われた初等教育の教科書や幻灯・錦絵などの教材をとおし、
ご覧いただければと思っております。
黎明期の初等教育をテーマとした本展が、本学の学生や教員はもとより、
ひとりでも多くの方々の目に触れ、生活のなかで学習の意義を問い直す、
ささやかなきっかけとなれば幸いです。
平成8年10月23日
筑波大学附属図書館長 北原 保雄
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